最も節電した家庭には英国旅行、「節電ゲーム」で省エネは進むか:電力供給サービス
Looopは、2018年7月1日〜9月30日の期間限定で業界初となる消費者参加型の節電キャンペーン「真夏の節電大作戦2018」を実施する。顧客同士が節電量を競い合うということで、節電意識の向上を狙うというユニークなキャンペーンだ。
節電をゲームのようにチームで行う――MVPにはケンブリッジ旅行
Looopは2018年2月27日、東京都内で記者会見を開催し、2018年7月1日〜9月30日の期間限定で、業界初をうたう消費者参加型の節電キャンペーン「真夏の節電大作戦2018」を実施すると発表した。同キャンペーンでは、参加を希望する顧客に対し時間帯別単価の電気料金プランを提供するとともに、顧客同士が節電を競い合うことによって、節電意識の向上を狙うという。
本キャンペーンの実施目的は、需給が切迫する夏季平日の日中において、顧客の電力消費行動をピークカットやシフトに促すためのもの。初回となる今回は、実際の顧客行動を分析するという実証実験の側面があるため参加顧客を限定(東京電力管内の希望する1000ユーザー)し、ケンブリッジ大学および同大学発のエネルギーデータコンサルティング会社であるSMAP ENERGY社との共同研究として実施する。
キャンペーンに参加する顧客は、キャンペーン期間中の平日14〜22時を「節電タイム」として1kWh(キロワット時)当たり35円、節電タイム以外の時間帯では同20円とする時間帯料金(TOU:Time-Of-Use)プランに変更される。
「Looopでんき おうちプラン」を契約する月間電気料金が6400円程度の一般家庭モデルでは、本キャンペーンの参加により、約4%(250円程度)の電気料金削減が可能だと試算している。また、仮に節電タイム中の電力消費を0とした場合、最大で23%(1500円程度)の料金削減ができるという。
節電量を顧客同士で競い合うゲーム要素がこのキャンペーンの大きな特長だ。各顧客が2018年6月に実際に消費した電力使用量から、同年7月、8月、9月の電力使用量を予測し、実際に消費した電力使用量との差分(節電率)を顧客同士で競争する個人戦と、Looopが顧客をランダムに分けた3つのチーム戦で節電を競い合う。
優勝チームの中で最も節電率が高かった顧客には、イギリスのケンブリッジへの研修旅行が贈呈される他、勝利チームに所属する全顧客にも、Amazonギフト券をプレゼントするという。
同キャンペーンに技術的支援を行うSMAP ENERGY社CEO(最高経営責任者)の城口洋平氏は、「電力自由化先進国であるイギリスでは、TOUへの期待が非常に高まっている。Ofgem(イギリス電力・ガス市場規制庁)は、全電力会社がTOU料金プランを提供することで国民の節電意識が高まり、国(イギリス)全体で1.3%もの電気料金が削減できるとみている」と語る。
TOUを導入した本キャンペーンの効果について、城口氏は「7.56%程度のピークシフトが発生すると試算され、それによってユーザー(顧客)の電気料金は3.8%程度削減される」と分析し、「実は、電力会社(Looop)の粗利率も改善されることが試算されており、(今回のキャンペーンでは)ケンブリッジ旅行のような賞品提供も可能になった」として、各電力会社の電源ポートフォリオに合わせたTOU料金プランの策定により、顧客および電力会社の双方にメリットがあると見解を述べた。
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