木質チップで給湯、リコーがバイオマスで温浴施設に温水を供給:自然エネルギー
リコーは、2020年春に三重県で開業予定の複合リゾート温浴施設で利用される熱エネルギー供給について、木質バイオマス熱エネルギープラントを建設し供給を行う。
リコーは、2020年春に開業予定の複合リゾート「アクアイグニス多気」(三重県多気町)の温浴施設で利用される熱エネルギー供給について、三重県多気町および同施設運営元のアクアイグニス(東京都中央区)と協定を締結したと発表した。本施設への熱エネルギー供給は、リコーが新たに建設するバイオマス熱エネルギープラントによって行われることになる。
アクアイグニス多気は、産学官連携により開発が進められている敷地面積約115万平方メートルの大規模リゾート。中核施設の1つとなる温浴施設「薬草の湯」は、県内で生産された季節の薬草を活用してさまざまな効能の湯を提供する施設となることが予定されている。
本協定では、リコーが建設予定のバイオマス熱プラント(想定出力800キロワット)によって県内の森林から産出された一般材由来の木質チップの燃焼し、この燃焼熱により温水を「薬草の湯」に供給する。木質チップの想定年間使用量は1800トンとなる。
多気町、アクアイグニスおよびリコーは、森林保全と林業活性化への寄与、二酸化炭素の排出削減による地球温暖化防止、来場者への再生可能エネルギー活用紹介、の3点を意義あるものとして共通認識し、本取り組みが実現したという。なお、CO2排出削減効果は年間1000トン前後を見込んでいる。
リコーでは2016年12月から、静岡県御殿場市のリコー環境事業開発センターで御殿場市との協業により、センター近くの森林から産出される未利用間伐材のチップ化を行い、バイオマス燃料としてセンターの空調、給湯に活用している。このノウハウを活用して、本協定における木質バイオマス活用を実現するという。
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