雪が解ける太陽光発電システム、除雪作業を軽減して発電量もアップ:太陽光
環境システムヤマノは融雪機能を備える太陽光発電システムを開発。降雪地帯の除雪作業を軽減できるとともに、効率良く発電できるという。
環境システムヤマノ(福島県須賀川市)は、人力による除雪作業を省力化できる「融雪機能付き太陽光発電システム」を開発。効率良く融雪して発電量を増やすことができ、条件によっては雪国特有の融雪エネルギー代をゼロにできるという。東北6県および全国降雪地域で2018年5月から販売を開始する。
降雪地域では冬の期間、屋根などの雪下ろしに時間と労力を費やしている。一方、近年は若者の減少で過疎化が進み、高齢者による屋根雪処理中の転落死亡事故や落雪による近隣とのトラブルもみられる。さらに、人手不足で賃金が高騰する影響で、屋根の雪下ろしが進まず、家屋の倒壊するといった被害も起きているという。
この雪下ろしを省力化する方法として、融雪ヒーターや化石燃料による不凍液循環融雪システムを導入している家庭・自治体が多数あるが、二酸化炭素の排出といった環境負荷や、化石燃料費の変動によって融雪費用の負担が増大しているのが現実のようだ。
今回開発した太陽光発電システムは、電流を逆流させて太陽光パネルを加熱して雪を融かすシステムを搭載。独自開発したセンサーが降雪を感知すると、自動でヒーターが作動し数分で発熱する。ヒーターは片側ずつ発熱し、雪が解けると一定時間で反対側を加熱する。これにより、融雪電力契約の基本料金を抑えられる。
雪国では積雪により太陽光発電には不向きといわれているが、これを解消するため同社は、単結晶太陽光発電パネルとアモルファス太陽光発電パネルの両方を採用。日差しが強い南面屋根に単結晶シリコン型太陽光パネル、北面など日差しの弱い屋根には薄膜のアモルファスシリコン型太陽電池を設置する。2種類の太陽電池を組み合わせることで屋根全体を覆うことができ、全体の発電効率を高められるという。これにより売電量が増え、同社の実証では、融雪に掛かるランニングコストを相殺できたとしている。
システムの施工費は屋根形状により異なるが、1平方メートル当たり6〜8万円が目安になるとしている。
関連記事
- 「雪」のエネルギーは何に役立つ?
太陽光や風力だけが再生可能エネルギーではない。小規模だったり、地域を選んだりするものの、有用なエネルギー源は多数存在する。例えば環境にある熱だ。今回のクイズは雪や氷を使った「雪氷熱」に関するものだ。 - 「流雪溝」の水流で小水力発電、売電収益を町づくりに生かす
豪雪地帯である石川県白山市の白峰地区には、除雪した雪を河川まで運ぶ「流雪溝」が敷設されている。金沢工業大学などはこの流雪溝の水流を活用する小水力発電所を設置した。売電収益は地域の活性化に生かす。 - 電力の「1割」使うデータセンター、改善策は雪と排熱
データセンターは電力消費量が大きい。中でも空調用電力が約4割を占める。インフラが整った雪国であれば、空調用電力を削減できる。データドックが新潟県長岡市に立ち上げるデータセンターは、雪を使い、排熱を再利用する。 - 外気と雪で冷やすデータセンターが長岡に開所、地方創生に大きな期待も
データドックは2018年1月22日、同社が運営するデータセンター「新潟・長岡データセンター」の開所式を開催した。最新鋭の運用設備を導入しつつも、長岡市の冷涼な気候を生かした空調とサーバ排熱による水耕栽培、地元経済や人材の活用を行うなど環境と地域に優しいデータセンターだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.