福島県で国内最大級のソーラーシェア、11MWのパネル下でミョウガ栽培:太陽光
福島県南相馬市で国内最大級のソーラーシェアリング事業が進んでいる。発電規模は11.3MW、年間発電量は1316万kWhを見込む大型のプロジェクトで、太陽光パネルの下部ではミョウガを栽培する。
福島県南相馬市で国内最大級のソーラーシェアリング事業が進行中だ。トーヨーエネルギーファーム(福島県南相馬市)が同市小高区で進めているプロジェクトで、このほど全3工区のうち第2工区までが完成。2017年度内の完成を予定している第3工区を合わせると、発電規模は11.3MW(メガワット)、年間発電量1316万kWh(キロワット時)を見込む国内最大級のソーラーシェアリング事業になるという。
ソーラーシェアリングは農地などに支柱架台を設置し、上部空間では太陽光発電、その下部で農業を行う。発電と農業を両立することで、育成した農作物などの販売に加え、売電収益も見込める。高齢化や人材不足、収益力の向上が課題となっている国内農業の新しい事業形態として注目されている。
トーヨーエネルギーファームが南相馬市で進めているプロジェクトでは、東日本大震災以降、農家の高齢化や避難指示解除準備区域に指定(2016年7月に解除)された影響などで、有給農地となっていた土地を活用している。
太陽光パネルは台湾のAU Optronics社製、パワーコンディショナーはABB製のものを採用した。架台メーカーは非公開だが、最低地上高2.2メートルのものを採用した。発電所の設計施工はトーヨー建設が担当し、太陽光発電設備一式は、三井住友ファイナンス&リースがリースした。
太陽光パネル下部の農地では、ミョウガを栽培している。ミョウガは日陰での栽培が可能なため、ソーラーシェアリング事業で栽培されるケースが増えている。トーヨーエネルギーファームでは、栽培したミョウガの地域ブランド化にも取り組み、復興に貢献する方針だ。
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