トヨタは、燃料電池バス(FCバス)「SORA」を開発し、FCバスとして国内で初めて型式認証を取得した。2018年3月7日から販売を開始している。
政府が世界に“水素社会”をアピールする場として位置付ける2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」に向け、今後、東京を中心に100台以上のFCバス導入が予定されている。
トヨタが開発したSORAは、Sky、Ocean、River、Airの頭文字をつなげたものので、地球の水の循環を表している。外観は従来の路線バスに見られる六面体(箱形)から大きく異なる立体的な造形を追求し、前後ランプにLED採用し、一目でFCバスとわかるデザインを意識した。車両サイズは1万0525×2490×3350mmで、定員は79人。
燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能と、騒音や振動が少ない快適な乗り心地を実現したとしている。
外部給電システムも搭載した。最高出力9kW、供給電力量235kWh(キロワット時)の電源供給力を備えており、災害時には電源としての利用が可能だ。
車内外に配置した8個の高精細カメラの画像を運転席モニターに表示。さらに、バス停車時には周囲の歩行者や自転車などの動体を検知し、運転手へ音と画像で知らせる「視界支援カメラシステム」を搭載し、安全性も向上させている。
この他、モーター走行により変速ショックがないことに加え、急加速を抑制し緩やかな発進を可能とする加速制御機能の採用により、車内で立っている乗客の安全性に配慮した。この自動格納機構付き横向きシート、視界支援カメラシステム(バス周辺監視機能)、加速制御機能はいずれも日本初(2018年3月28日現在、同社調べ)の機能だという。
関連記事
- リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは
電気自動車に必要不可欠なリチウムイオン蓄電池。だが、より電池の性能を高めようとしても限界が近い。そこで、実質的なエネルギー量がガソリンに近い金属空気電池に期待がかかっている。トヨタ自動車の研究者が発表したアルミニウム空気電池の研究内容を紹介する。開発ポイントは、不純物の多い安価なアルミニウムを使うことだ。 - ソーラー充電が可能な「プリウスPHV」、太陽光でどこまで走るか
トヨタ自動車は「スマートコミュニティJapan 2016」で新型「プリウスPHV」を日本初展示した。蓄電池の電力のみで走行するEV走行距離が大幅に伸びたほか、ルーフ部分に搭載した太陽光パネルで給電を行えるのが特徴だ。 - EV化の波は二輪にも、電動バイクの最前線
「東京モーターサイクルショー」では、モーターとバッテリーが動力源となる電動バイクの存在感が強まっていた。スクーターからレースマシンまで、電動バイクの“現在地”を紹介する。 - 水素で200キロ走る燃料電池バス、東京都心で運行開始へ
東京都の交通局が水素社会の実現に向けて燃料電池バスの運行を3月21日に開始する。トヨタ自動車が市販する燃料電池バス2台を導入して、東京オリンピック・パラリンピックの会場周辺と東京駅を結ぶ。車体の上部に搭載した燃料電池2基と水素タンク10本で200キロメートルの走行が可能だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.