再エネとの連系に有効、川重が30MWの新型ガスタービン:蓄電・発電機器
川崎重工業は高速負荷応答性を備えた30MW級の新型ガスタービンを開発。世界最高水準の負荷応答性と発電効率を持つのが特徴で、不安定な再生可能エネルギー電源との連系や、CO2排出量削減などに生かせるという。
川崎重工業は2018年3月、高速負荷応答性を備えた30MW(メガワット)級の新型ガスタービン「L30A」を開発したと発表した。同クラスのガスタービンとしては世界最高水準の負荷応答性と発電効率を持つのが特徴で、不安定な再生可能エネルギー電源との連系や、CO2排出量削減などに生かせるという。さらに、L30Aを利用した100MW級のコンバインドサイクル発電プラント(CCPP)を開発し、販売も開始している。
L30Aは新しい燃焼器技術などの開発により、負荷応答性を従来機の約2倍となる20%/分に高めた。無負荷状態から全負荷運転までにかかる時間は約5分だという。なお、L30Aの技術開発の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」によって実施された。
L30Aを利用した、CCPPはガスタービンで一次発電を行い、その排熱を利用して排熱回収ボイラにより蒸気を発生させ、蒸気タービンで二次発電を行う複合火力発電プラント。同じ出力の蒸気タービン発電よりも始動時間が短く負荷応答性に優れ、発電効率が高いという特長がある。また、発電効率が上昇する分、廃棄される熱エネルギーが少ないという利点をもつ。
今回開発したCCPPは、L30Aガスタービン2基、排熱回収ボイラ2基、蒸気タービン1基を基本構成とし、全て自社製品を採用した同社グループ独自の発電プラントだ。同社が長年培ってきた製品技術力とプラントエンジニアリング力を結集し、ガスタービン単体に加え、コンバインドサイクル全体としても高効率化を実現している。特に、発電効率は100MW級で55.2%(再熱式)、90MW級で54.4%となり、ともに世界最高水準の発電効率を達成したとしている。
同社はこれまでに、発電用ガスタービンでは1万2000基以上、排熱回収ボイラでは67基、蒸気タービンでは370基以上の納入実績が国内外にあるという。
今後、世界の電力使用量は経済発展が著しい東南アジアを中心に増加していくとともに、従来の天然ガス産出に加えて、米国以外の新たなシェールガス供給国の増加も期待され、これに伴うガス火力発電所の建設需要の拡大によって、CCPPの市場も容量・地域ともに拡大が見込まれている。
中でも、出力が不安定な再生可能エネルギーの利用拡大などを背景に、新規導入や設備更新が進む分散型発電市場では、高効率な設備や優れた負荷応答性への要求が顕著であり、同社のCCPPはそれらのニーズに応えることが可能だとしている。
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