EVとビルをつなぐ「V2B」、三菱自動車がオランダで実証:電気自動車
三菱自動車がオランダで、自動車とビル間で電力を相互供給する「Vehicle to Building(V2B)」技術の実証を開始した。
三菱自動車は2018年3月、日立ヨーロッパ社(英国・メイデンヘッド)およびエンジー社(フランス、パリ)と共同で、オランダで電気自動車などの電動車両とビル間で電力を相互供給する「Vehicle to Building(V2B)」技術の実証を開始したと発表した。
3社はそれぞれの専門性を生かしてV2B技術を活用していくことで、効率的なビルエネルギー管理システムを構築する。事業者によるCO2総排出量の多くは、事業所や輸送が占めていることから、V2B技術の活用は電気代の低減だけでなく、CO2削減にも寄与することが期待される。
日立が提供するV2X充電・放電器は、電動車両に充電を行うだけではなく、電動車両から電気を取り出してオフィスビルや導電網へ送ることが可能だ。電動車両からの給電は電力系統の調整にも活用できる。さらに、太陽光発電パネルと接続すれば、太陽光発電の余剰電気を電動車両の駆動用電池に蓄電し、この電力を必要に応じて送電網に戻すだけでなく、非常用電源としても機能する。
今回の実証で三菱自動車は、再生可能エネルギーの蓄電デバイスとしても活用できるSUV型プラグインハイブリッド車の「アウトランダーPHEV」を提供している。
日立ヨーロッパは、電動車両、オフィスビル、送電網などと接続可能なV2X充電・放電器を供与し、車両とビル、車両と送電網を統合する技術を担当する。
エンジーは、電動車両やオフィスビルの電力供給システムと、太陽光発電システムを統合し、スマートビルディングを構築する技術を提供した。
次のステップでは、電動車両、再生可能エネルギー、オフィスビルの電力マネジメントシステムの連携による、オフィスビルの電力を平準化などについて検討する。
三菱自動車常務執行役員のコベ・バンサン氏は、V2B技術などを活用したスマートシティの発展における電動車両の役割について「低炭素でエネルギー効率の優れたスマートなビルを構築するための新しい手法として貢献が期待されている。当社はEVとPHEVが将来の都市エネルギーの重要な要素となることを示したい」と意欲を示した。
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