電力・ガス自由化、認知広がるも“理解”は進まず――電通調査:電力供給サービス(2/2 ページ)
消費者への認知は進むも、内容の理解については伸び悩みが続く――。電通が実施した調査から、電力・ガス自由化に対する消費者の理解状況に関する課題が見えてきた。
電力・ガスの契約先変更を検討するユーザーは半数以下
電力購入先の変更意志に関する質問では、変更意志があると答えた回答者が「すぐにでも変更したい」の1.1%と「変更する方向で検討したい」の6.9%を合わせた8.1%となり、前回から0.2ポイント増加。「検討するが、変更するかどうかはわからない」の39.6%を合わせると47.7%と前回から1.2ポイント増加となるが、依然として半数を下回っている。
ガスについては「すぐにでも変更したい」の0.7%と「変更する方向で検討したい」の6.9%を合わせた7.6%で、前回から0.3ポイント増加。「検討するが、変更するかどうかはわからない」37.2%を合わせると44.8%で、こちらは前回から2.1ポイント下落となった。
購入先を変更しておらず、かつ変更の意向がない人に対してその理由を尋ねたところ、上位の回答は「変更の手続きが面倒・大変そう」(電力27.6%、ガス23.0%)の他、「今まで通り慣れている会社の方がよい」(電力27.1%、ガス25.0%)、「現在と比べて安くならない」(電力24.9%、ガス22.1%)、「メリットがよくわからない」(電力24.8%、ガス22.1%)、「変更することに不安」(電力23.1%、ガス21.2%)、「変更することで損をしたくない」(電力22.9%、ガス21.5%)などが挙がった。
選ぶ基準は「経済性」だけにあらず
電力やガスの購入先を選ぶ基準については、「料金の安さ」が68.2%、「他社よりもオトク」が34.1%、「ポイントが充実」が15.2%となり、経済性に関する項目が挙がる一方、「事故・トラブル時の対応」が40.9%、「日常のメンテナンス」が36.7%、「手続きが簡単」が29.6%、「サービス対応」が24.7%となるなど、顧客対応やアフターサービスに関する項目も重要視していることがわかる。また、「契約内容がわかりやすい」が38.2%で、「供給が安定」が41.8%、「知名度があり信頼できる」が33.5%となっており、契約の簡潔さや、信頼性・安心感を求める声も多い。
なお、今回の調査は世帯主もしくは世帯主の配偶者で、自分または配偶者が電気料金を支払っている人を対象に実施。沖縄地域を除く9電力管内で、20〜69歳の男女5600人がインターネット経由で回答した。
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