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“温泉発電”も視野に、米国の温度差発電ベンチャーが日本で事業展開:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
温度差発電技術を持つ米国のベンチャーMATRIX Industriesが日本での事業展開を拡大。同技術を生かした“体温で発電する”スマートウォッチを販売する他、温泉を活用した発電システムも検討するという。
温泉発電システムも検討
MATRIX Industriesはこうした熱電変換技術を、さまざまな分野に展開していく方針。同社のCEOを務めるAkram Boukai氏は「われわれはスマートウォッチを開発するだけでの企業ではない。この温度差発電技術は、IoT機器などさまざまなものに転用できる」と強調する。具体的には、TEGとASICをハードウェアとして提供するパターンと、熱設計の部分も含め技術IP(Intellectual Property)として提供する場合があるとしている。
実際に同社は2018年1月に、EMS(エネルギーマネジメント)事業やIoTソリューション事業を手掛けるMTES(東京都中央区)と業務提携を実施。MTESが開発するIoT機器に、MATRIX Industriesの温度差発電技術を搭載。これにより、電力供給が難しい場所にもIoT機器を導入しやすくする狙い。
Boukai氏は、今後の日本における事業展開の1つとして、温泉の未利用熱を活用した発電システムを検討していることも明かした。「日本には3000以上の温泉があると聞いている。大きな規模の温泉であれば、10kW以上の発電を行える可能性がある。これだけの出力が得られれば、旅館1軒分の使用電力量をまかなえるのではないかと考えている」(同氏)。今後、実際の温泉で、どの程度の発電が可能かを検証する方針だという。
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