ニュース
街に水素100%で熱電供給、神戸市で実証に成功:エネルギー管理
大林組と川崎重工は神戸市のポートアイランドで、水素だけを燃料として利用し、市街地に熱と電力を供給する実証試験を成功させた。
大林組と川崎重工は神戸市のポートアイランドで、水素燃料100%のガスタービン発電による熱電供給を行うことに成功した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで実証試験として行ったもので、市街地で水素のみを燃料とするガスタービン発電で熱電供給を実施した例は、世界初という。
川崎重工はこれまでNEDOプロジェクトの一環として、水素を利用できるガスタービン発電設備の開発している。水素専焼と、水素と天然ガスを任意の割合で混焼させるどちらの運用も可能なのが特長という。2017年12月にはこのガスタービンを利用し、水素を燃料に電力と熱を供給できる1MW(メガワット級)「水素コジェネレーションシステム(水素CGS)」を開発し、これを核とする実証プラントをポートアイランドに設置。2018年1月から試験運用を進めてきた。
今回行った実証試験は、この実証プラントを実際に運用し、水素で発電した電力と熱をポートアイランド内の4施設に供給するというもの。水素CGSの性能と、熱電供給を最適に管理する大林組のエネルギーマネジメントシステム(EMS)の動作を確認するのが目的だ。
関連記事
- 豪州から水素を日本に、2020年めどに輸送試験へ
オーストラリアの安価な褐炭で製造した水素を、日本に輸送するサプライチェーン構築に向けた検証がスタート。2020年に最初の輸送試験を行う計画だ。 - 水素と蓄電池を使い分け、再生可能エネルギーの出力変動を吸収
東北電力が再生可能エネルギーの出力変動対策に水素製造技術を活用する実証システムの運用を開始した。長周期と短周期の出力変動に対し、蓄電池と水素製造を使い分けるのが特徴だ。出力変動対策は蓄電池を利用するのが一般的だが、水素製造技術の適用が可能かどうかを検証していく。 - 再生可能エネルギーの出力変動を水素で解決、貯蔵した水素で「MIRAI」も走る
不安定な再生可能エネルギーの出力をどう制御するかは大きな課題だ。九州大学が実施している「スマート燃料電池社会実証」では、こうした課題の解決策として再生可能エネルギーを水素として貯蔵する実証実験がスタートしている。さらに貯蔵した水素を燃料電池車に供給するなど、水素社会の実現に向けた先進的な取り組みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.