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再エネが企業競争力を高める時代へ、脱炭素化を目指す日本企業の戦略とは?自然エネルギー(2/3 ページ)

企業による再生可能エネルギー導入拡大の動きが、日本でも加速している。再生可能エネルギーへの積極的な取り組みは、企業の競争力を高めることに結びついているという。本稿では、RE100への加盟でも知られる積水ハウスとイオンの取り組みについて紹介する。

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バリューチーン全体で脱炭素化を図るイオン

 イオンは2018年3月28日、「イオン脱炭素ビジョン2050」を策定し、併せて日本の小売業として初めてRE100への加盟を発表した。「イオン脱炭素ビジョン2050」では、店舗で排出するCO2を2050年までに総量ゼロにするとともに、商品の製造・物流など事業の過程で発生するCO2についてもゼロにする努力を続けていくと宣言。中間目標として、店舗で排出するCO2を2030年までに総量で35%削減すること(2010年比)を表明した。


「イオン 脱炭素ビジョン2050」の骨子 出典:イオン

 脱炭素化に向けては早くから取り組みを進めており、2008年にはCO2の排出削減目標を定めた「イオン温暖化防止宣言」を策定、2011年には「低炭素社会の実現」を含む「イオン サステナビリティ基本方針」を発表している。セミナーで登壇したイオン グループ環境・社会貢献部部長の金丸治子氏は、「サステナビリティ基本方針は、持続可能な社会の実現を目指すものです。経営においても、グループの成長と社会の発展の両立を基本に考えています」と話す。RE100への加盟も、その一環にあるというわけだ。

 イオンが排出するCO2の約9割は電力であり、全国の店舗などで消費する電力は74億kWh(キロワット時)/年にのぼるという。これは日本全体の出力消費量8505億kWh/年の0.9%に相当する量だ。2030年目標(CO2排出量35%削減)を達成するためには、店舗使用電力の削減(省エネ推進)と使用電力を再生可能エネルギーに切り替えていくこと(再エネ転換)が重要となる。

※経済産業省資源エネルギー庁「平成28年度電力調査統計表」より

 具体的には、太陽光発電設備の導入、再生可能エネルギーの自社調達、外部から供給を受ける電力を再生可能エネルギーに転換する。加えて、照明・空調・冷ケースなどへの省エネ設備の導入や、IoTによる運用改善を通してCO2削減を目指す。さらに、各種スマート技術の導入やエネルギーの遠隔一括管理など、さまざまな手法を組み合わせた環境配慮型店舗「次世代スマートイオン」の開発にも取り組んでいく。

 パートナー企業や顧客へもCO2削減への協力を働き掛ける。まず、商品サプライヤーに関しては、製造委託先企業へCO2削減目標の設定を要請するとともに、CO2削減貢献商品の開発を呼び掛ける。また、顧客に対しては、イベントや商品を通じて家庭での省エネを提案。あわせて買物袋持参運動や環境教育にも力を入れる。大手小売企業ならではのネットワークを生かして、バリューチェーン全体で脱炭素社会の実現を目指していく考えだ。


バリューチェーン全体で脱炭素社会の実現を目指す 出典:イオン

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