LPガスの使用状況をLPWAで把握、数千世帯が参加の大規模実証:IT活用
ミツウロコはLPWAネットワークを活用するLPガス配送業務の効率化に向けた大規模実証を開始する。各世帯のLPガスの使用量を遠隔から把握できるようにし、配送の効率化およびコスト削減効果を検証する。
ミツウロコグループホールディングスの連結子会社であるミツウロコクリエイティブソリューションズ(ミツウロコCS、さいたま市)は2018年5月、NECの提供する「LPガスメーター指針値提供サービス」を利用したLPガス配送業務効率化ソリューションの大規模実証を名古屋市周辺で開始すると発表した。
主にミツウロコヴェッセル中部がLPガスを供給する需要家を対象とし、2018年9月から12カ月間をかけて実施するもので、数千軒規模の大規模実証は国内初の試みとなるという。LPガスメーター指針値提供サービスは、各消費者宅のLPガス管メーターに「LPWA(Low Power Wide Area)対応IoT無線化ユニット」を設置し、通信網に京セラコミュニケーションシステムが提供するIoT向けのネットワーク「Sigfox」を主に利用することで、LPガスメーターの指針データを遠隔から網羅的に、高頻度、低コストで収集できるなどの特徴がある。
同サービスを利用したLPガス配送業務効率化ソリューションにより指針値の遠隔取得が実現すれば、需要家のLPガス消費量を日次で把握できるようになるため、需要家宅に設置されたLPガス容器内のガス残量をより正確に把握し、最適な配送が可能になるとする。
これにより、従来ガス切れを防ぐために需要家宅に設置された2本のLPガス容器を交互に交換していたところを、一度の配送で全てのLPガス容器を交換することもできる。これにより、LPガス配送回数の削減が見込まれ、LPガス配送業務の生産性向上および配送コストの削減も期待できるとしている。
ミツウロコCSは、エネルギー事業を行うグループ会社であるミツウロコ、ミツウロコヴェッセル、ロジトライ等の協力により、同LPガス配送業務効率化ソリューションの運用や、現場業務との連携支援までを一元的に行い、配送回数の低減やそれによる配送コストの削減などについて、具体的な効果測定を行う。さらに双方向通信のLPWA網を利用して、保安面の強化についてもその効果測定を一部実施する予定だ。
今後は、配送業務効率の改善による省人化に加え、先端技術を利用した配送ルートの自動構築システム等を用いた配送業務における「属人化の解消」にも取り組み、配送業務の更なる高度化を目指す。
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