下水処理の消化ガスを2200世帯分の電力に、埼玉県でバイオガス発電:自然エネルギー
埼玉県で下水処理場で発生する消化ガスを利用したバイオガス発電事業の計画が始動。消化ガスを利用し、一般家庭2200世帯分の使用電力量に相当する年間発電量を見込む。
大手総合リースの東京センチュリーは2018年5月、月島機械と共同で、埼玉県下水道局と「中川水循環センター消化ガス発電事業」に関する基本協定をこのほど締結したと発表した。
同事業は、民間企業である両社が埼玉県から事業用地の提供を受けるとともに、下水処理場で発生する消化ガス(バイオガス)を埼玉県から購入して、20年間の発電事業を行うもの。自らの資金とノウハウを活用して発電設備「中川水循環センター消化ガス発電所」(埼玉県三郷市)を建設する。
発電施設には消化ガス発電設備1式を設置。設備容量は合計1996kW(キロワット、ガスエンジン4台)。年間発電量は一般家庭約2200世帯分の使用電力量に相当する約1120万kWh(キロワット時)見込んでいる。事業期間は2021年3月〜2041年2月(20年間)の予定で、発電した電気は、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用して売電を行う。
月島機械は、下水処理場における汚泥処理に強みがあり、汚泥消化設備、ガス貯留設備および発電設備の豊富な実績を誇る。また、上下水道におけるPFI(Private Finance Initiative)・DBO(Design Build Operate)事業を積極的に展開している。
同事業は、2016年5月に締結した両社の業務提携に基づく、下水処理場におけるバイオマス混合消化発電における官民連携事業の具体的事例の1つとなる。今後も月島機械の得意とする下水道分野での創エネルギー事業と、東京センチュリーの環境・エネルギー事業での実績および金融・サービス機能を組み合わせ、発電事業を展開していく方針だ。
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