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インフラ点検を「複合現実」で効率化、東京電力が研究開始:IT活用
東京電力は発電所や工場などにおける現場作業の支援・高度化に「Mixed Reality(MR、複合現実)」を活用する研究を開始。将来は東電HDの発電所などへの導入を目指すという。
東京電力ホールディングス(東電HD)は2018年5月17日、発電所や工場などにおける現場作業の支援・高度化に「Mixed Reality(MR、複合現実)」を活用する研究を開始したと発表した。3Dを中心としたゲーム・ソフトウェア開発を手掛けるポケット・クエリーズ(東京都渋谷区)と共同で実施する。米Microsoftの「HoloLens」で利用する点検作業用のソフトウェアを開発し、将来は東電HDの発電所などへの展開を目指すという。
MRとは現実の空間にデジタル空間を融合して描画する技術。物体に重ねて描画したり、手で直感的に操作したりといったアクションが行えるなど、現実空間に情報を重ね合わせる「Argument Reality(AR)」と、デジタル空間で仮想の世界を体感する「Virtual Reality(VR)」を融合させた使い方ができるのが特徴という。
東電HDとポケット・クエリーズではこのMRで、現場での設備診断時にセンサーで収集した設備内部の温度や電流量などのリアルタイム情報を作業員に見せたり、マニュアルを表示させたりなど、作業を支援するシステムの開発を目指す。「ヒトの五感でしか気づけない現場の情報と、集中管理している設備のデータを組み合わせれば、さらに人間の感覚を拡張し、作業を高度化・効率化できるのではなかと考えている」(東京電力HD 経営技術戦略研究所 山川泰司氏)
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