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メガワット級の水素製造装置、日立造船が開発に成功:蓄電・発電機器
日立造船が国内最大級という大型の水素発生装置の開発に成功。メガワット級の再生可能エネルギー電源を活用した水素製造にも対応できる。
日立造船は、200Nm3/h(ノルマルリューベ毎時)の水素を製造できる大型固体高分子型水素発生装置を開発したと発表した。2018年度に実証実験を開始し、2019年度の販売開始を目指している。国内最大級の水素発生装置で、メガワット級の発電施設での余剰電力を活用した水素製造を可能にするという。
同社は1974年の通商産業省工業技術院(当時)によるサンシャイン計画から一貫して水素発生装置の開発に取り組んできた。2000年には水素発生装置「HYDROSPRING」の販売を開始し、官庁、研究機関、民間企業向けに生産用や研究開発用に多数の納入実績がある。今回、近年の風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及、将来の水素社会の到来、水素需要の増加を見据え、より大型のモデルの開発に取り組んだ。
水素発生装置は、水を電気分解し、高純度の水素を製造する。風力発電や太陽光発電など、再生可能エネルギーによって生み出された電力の余剰分を、水の電気分解により水素として貯蔵することが可能だ。このほど開発した装置は、国内最大という200Nm3/hhの水素製造能力を有し、メガワット級の電力変換に対応している。心臓部である電解槽の大型化に関しては、日立造船の持つ電解技術とフィルタープレスの技術を融合させることにより、開発に成功した。また、システム全体は、40フィートコンテナに収納した可搬式であるため、ボンベの運搬・保管・交換が不要で設置コストを抑えられるという。
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