期待の海洋エネルギー発電、日本の導入ポテンシャルマップを公開:自然エネルギー
みずほ情報総研らが「海洋エネルギーポテンシャルマップ」を一般公開。今後日本での導入が期待される波力・潮流発電などの事業計画の策定を支援する。
みずほ情報総研と九州大学、鹿児島大学は、このほど日本の海洋エネルギー発電に資する資源量分布図「海洋エネルギーポテンシャルマップ(地域詳細版)」を開発し、Webサイト上で一般公開した。
今回公開したのは、波力発電、潮流発電、海流発電、海洋温度差発電の4種類のポテンシャルマップで、それぞれ海洋エネルギー発電装置を実海域で試験する可能性が高い海域または事業化に向けて有望な海域で、観測とシミュレーションに基づく海洋エネルギー発電の資源量の評価を行い開発した。
なお、同プロジェクトは、2014〜2017年度にかけて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業「海洋エネルギー技術研究開発/海洋エネルギー発電技術共通基盤研究/性能評価手法及びポテンシャルの調査」として実施したものだ。
海洋エネルギー発電は、世界的に実証研究のフェーズにあり、市場はまだ確立されてないが、潮流発電などの一部の技術は商用化直前の段階にある。日本は世界6位の広大な排他的経済水域を有しており、地域の特徴に合わせた海洋エネルギーの利用が望まれているという。
国内では、海洋の持つ物理的なエネルギーを電力に変換する装置として、主に波力発電、潮流発電、海流発電、海洋温度差発電の技術開発が行われており、一部の発電装置は、実海域に設置され実証試験が進んでいる。そのため、今後、海洋エネルギー発電の実海域試験および事業を検討する企業に活用してもらうため、調査の結果を「海洋エネルギーポテンシャルマップ(地域詳細版)」として広く一般に公開した。これにより、日本での海洋エネルギー発電の導入促進に貢献することを期待しているという。
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