NECが再エネ利用で新目標、「グリーン電力」を積極的に活用:自然エネルギー
2050年度までに事業活動におけるCO2排出量“実質ゼロ”を目指すNEC。今後は「グリーン電力証書」などを活用して、積極的に再エネの利用量を増やしていく計画だ。
2050年度までに事業活動におけるCO2排出量を実質ゼロにすることを掲げているNEC。同社は2018年7月6日、グループ全体の2017年度における環境活動実績をまとめた「NEC環境アニュアルレポート2018」を発表。将来の環境目標の達成に向け、2017年度は順調な成果が出たことをアピールした。さらにその中で、「グリーン電力」などの活用により、再生可能エネルギーの利用率を高める新方針を示した。
NECは2017年に「2050年に向けた気候変動対策指針」を発表。2050年までに自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1およびScope2)を実質ゼロとし、サプライチェーンからの排出量(Scope3)についても削減を推し進める方針を掲げた。さらに、この長期目標に向けた中期のアクションプランとして、「環境経営行動計画2020/2030」を発表している。なお、Scope1とは事業者が所有・管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出を、Scope2とは電気・蒸気・熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出、Scope3は Scope2を除くサプライチェーン全体からの間接排出を意味する。
環境経営行動計画2020/2030では、ITソリューションの提供で社会全体のCO2を2020年度に累計2300万トン、2030年度に累計5000万トン削減し、製品のエネルギー効率を2020年度までに30%、2030年度までに80%の改善といった目標を掲げる。2017年度にはそれぞれ累計1639万トンのCO2削減と、35%の効率改善を達成した。
Scope1、Scope2に該当する事業活動からのCO2排出量ゼロに向け、NECでは「効率化によるCO2排出量原単位の改善」と、「再生可能エネルギーへの転換」も目標に織り込んでいる。前者については、2020年度までに2012年度比で18%の改善を目指しており、2017年度の実績は10.3%だった。
「再生可能エネルギーへの転換」については、これまでは自社設備への太陽光発電などの導入量を、出力ベースで換算した目標を立てていた。目標値は2020年度までに2011年度比で10倍となる累計360kW(キロワット)の導入だ。この目標については、2017年度までに350kWの導入を達成することができた。
ただし、今後は再生可能エネルギーの導入目標を、kWベースの設備容量ではなく、発電量ベースで換算した目標に切り替える方針。2017年度時点で達成している350kWの導入量を、発電量ベースに換算すると372MWh(メガワット時)と試算。今後は2020年度までにこの発電量を、2017年度比75倍となる2万7900MWhまで引き上げる考え。この目標の達成については、太陽光発電の導入など自社設備への投資だけでなく、グリーン電力などを積極的に活用していく方針だ。
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