次世代太陽電池が急成長か、2030年に市場規模は800倍以上に:太陽光
調査会社の富士経済はフレキシブル結晶シリコンや有機薄膜といった次世代太陽電池に関する市場調査を実施。2030年の市場規模は2017年比約811倍の2433億円と、大幅拡大すると予測した。
ペロブスカイト、色素増感などの新型・次世代太陽電池は既存太陽電池とは異なる用途開拓が進み、今後大幅に市場が拡大しそうだ。
調査会社の富士経済は、近年、商用化に向けた取り組みが活発化しているフレキシブル結晶シリコン、フレキシブルGaAs、ペロブスカイト、色素増感、有機薄膜といった新型・次世代太陽電池市場を調査し(調査期間2018年4〜6月)、その結果を「新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」にまとめた。この調査では新型・次世代太陽電池を商用化している企業、あるいは商用化に目途をつけた国内および海外企業21社を対象に研究開発の現状と開発ロードマップ、用途開拓の動向を整理分析し、新型・次世代太陽電池および主要構成部材の市場の方向性を示した。
2017年の既存太陽電池(結晶シリコン<単結晶、多結晶、薄膜シリコン(CI(G)S、CdTe)の市場は5兆7830億円、それに対して新型・次世代太陽電池市場は3億円であった。既存太陽電池との置き換わりが実現すれば、巨大な市場を形成する可能性がある。既に商用化されている色素増感太陽電池(DSC)と有機薄膜太陽電池(OPV)は、既存太陽電池と同様に太陽光の利用に加え、室内光の利用による用途開拓が進んでいる。
しかし、既存太陽電池は製造コスト、供給体制、技術水準で大きく先行しており、販売価格は数十円/W(ワット)台と新型・次世代太陽電池よりも大幅に安価である。現状の価格競争力では、早急に新型・次世代太陽電池が主流化する可能性は低く、まずは既存太陽電池と競合しないIoT機器・無線センサーの電源や、「ZEB/ZEH」の実現に寄与するBIPV(建材一体型太陽電池)といった用途から市場形成が進んでいくと予想される。
こうした背景の中で新型・次世代太陽電池の世界市場は、2030年には、2017年比約811倍の2433億円と大幅拡大する見通しとした。
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