家電の電力消費に合わせて蓄電池を最適制御、京セラと東電子会社が実証:エネルギー管理
京セラと東京電力グループのエナジーゲートウェイは、VPPの構築に向けた共同実証を実施。太陽光発電の発電量や家電ごとの消費電力量などのデータをもとに、蓄電池の充放電制御を行い、ネガワットの創出を行う。
京セラと東京電力グループのエナジーゲートウェイ(EG)は2018年8月、京セラが実施するVPP(バーチャルパワープラント)構築実証事業に、EGのIoTプラットフォームを活用し、2018年11月から、需要家側エネルギーリソースに合わせた蓄電池の最適制御を検証すると発表した。
日本では、太陽光発電などの再生可能エネルギーが急速に導入された結果、出力変動や余剰電力の発生といった、電力系統に影響を及ぼすさまざまな課題が顕在化しつつある。そのため、継続的な再エネ導入と電力系統安定化を低コストで両立させる新たな社会的仕組みが必要となってきた。
将来にわたる再エネの導入拡大と安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築に向け、このほど、経済産業省が今年度に実施する「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」で、リソースアグリゲーター(需要家とVPPサービス契約を締結してリソース制御をおこなう事業者)である京セラは、EGのIoTプラットフォームを活用して実証を行う。
実証では、京セラが蓄電池とEGの高精度電力センサーを一般家庭に設置。EGは、高精度電力センサーにより収集した太陽光発電システム、蓄電池ならびに住宅内の総消費電力量などの需要家側エネルギーリソースデータに加え、家電分離技術(家電製品の種類ごとの利用情報を抽出する機能)により得られる家電ごとの消費電力量を、制御に最適な頻度で京セラに提供する。
これにより、京セラは蓄電池の最適な充放電制御を検証するとともに、家電ごとの詳細な消費パターンを把握することで、需要家側エネルギーリソースのグルーピングを行い、各需要家グループから創出されるネガワット(需要家の節電行動により生まれる電力)容量の確定精度を改善し、一般送配電事業者が必要とする調整力を創出する。
将来的に、両社は各需要家側エネルギーリソースデータを分析し、電力利用の効率化など利用者の生活を便利にするソリューション提供の共同検討を進める。
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