政府が太陽光発電のコスト目標を見直しへ、入札制度を2MW未満に拡大も:法制度・規制(2/2 ページ)
経済産業省・資源エネルギー庁は、「2030年に7円/kWh」という現行の太陽光発電の発電コスト目標を、前倒しで達成する新しい方針を示した。同時にコスト低減に向けて入札制度などのFIT制度の改革も視野に入れる。
入札制度の適用範囲を拡大、2MW未満の太陽光発電にも
再生可能エネルギーの発電コスト低減に向けた施策として、2017年4月に施行された改正FIT法から、一部の電源に入札制度が導入された。今回の委員会では、事務局からこの入札制度の対象をより一層活用してはどうかという提案がなされた。つまり入札制度の適用範囲を拡大しようということである。
具体的には、事業用太陽光発電は、現状2000kW以上となっている入札制度の対象を、原則全てに広げる方針を提案している。2017年12月末時点における事業用太陽光発電のFIT認定数約65.1万件、導入件数約48.2万件のうち、2000kW以上のメガソーラーの認定容量は全体の約40%、導入容量では同16%にとどまる。そのため、それ以外の2000kW未満の太陽光発電に対しても入札制度を導入することで、コスト低減の促進が見込めるのではないかという狙いだ。
風力発電については、陸上・洋上(着床式)を問わず、早期に入札制の導入を検討すべきとしている。ただし、風力発電は立地制約や系統制約が大きい。そのため、発電コストによる価格競争を促進するためには、併せて事業条件を可能な限りそろえる事業環境整備の実施などにも留意が必要とした。
ただし、小規模な太陽光発電、地熱、中小水力、小規模なバイオマス発電については、その地域の資源・エネルギーの地産地消モデルの構築に活用する例もあり、全国一律で価格競争を行う入札制度はなじまない場合がある。こうした電源の扱いについては、安易に入札制の導入を決定せず、は地域と共生しながら自立化を図るモデルの支援策と併せて検討していくべきではないかとした。
これらの事務局の提案は、今回の委員会でおおむね承認された。今後詳細な内容や実施時期については、調達価格等算定委員会で議論が行われることになる。
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