製油所をバーチャルパワープラントに、昭和シェルらが国内初の実証へ:エネルギー管理
昭和シェル石油らが、製油所のプラントを活用したバーチャルパワープラント(VPP)の構築実証を実施。製油所のエネルギーリソースを活用したVPP構築は国内初の取り組みという。
昭和シェル石油、西部石油(東京都千代田区)、および横河ソリューションサービス(東京都武蔵野市)は2018年9月、西部石油山口製油所(山口県山陽小野田市)で、バーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業を今秋から共同で行うと発表した。製油所のエネルギーリソースを活用した本格的なVPP構築実証事業は、国内初の取り組みになるという。
VPP構築実証事業は、高度なエネルギーマネジメント技術により、工場や家庭などが有するエネルギーリソースを遠隔制御・統合管理し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みの構築を目指すもの。VPPは、火力電源の代替となる需給調整力の創出と再生可能エネルギーのさらなる導入を可能にする新たなエネルギーシステムとして注目されている。
今回の実証試験で、横河ソリューションサービスは、リソースアグリゲーターとして、アグリゲーションコーディネーターである関西電力からの需要量を調整するディマンドリスポンス(以下、DR)制御に関する信号を、DRの実施に必要な発動時間帯や需給調整量などの情報に変換し、西部石油山口製油所に新設するシステムへ通知する。このシステムでは、通知された情報から製油所の稼働状況に合わせて、DRに対応するための電力供給量や抑制量などを算出し、提示を行う。
西部石油は、エネルギーリソース提供者として、提示された情報をもとに、生産プロセスへの影響を考慮しながら、プラントの自家発電設備である、ボイラー・蒸気タービン・発電機(BTG)を制御し、電力需要量を増減させ、アグリゲーションコーディネーターからの要請に応える。
昭和シェル石油は、プラントリソースコーディネーターとして、同実証全体をコーディネートし、生産プロセスへの影響などを加味した上でBTGの運用条件を分析し、製油所のエネルギーリソース活用を拡大・発展させる。
3社は、電力の需給調整力の創出と再生可能エネルギー導入拡大に貢献するVPPの実現に向けて、本実証でインダストリアルIoT(IIoT)を活用した仕組みを構築し、持続可能な開発目標SDGsの達成に貢献する活動を進めるとしている。
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