蓄電池リサイクル事業を日本展開、エネチェンジが英ベンチャーと業務提携:蓄電・発電機器
エネルギーベンチャーのエネチェンジが、蓄電池関連サービスを手掛ける英国のベンチャー企業と事業提携。蓄電池の寿命を延長する独自技術を生かした、中古リチウムイオン電池のリサイクル事業を展開する。
エネルギーマネジメント事業などを展開するエネチェンジ(東京都千代田区)は2018年9月、中古リチウムイオン電池のバッテリーマネジメントシステム(BMS)技術を展開する英国のスタートアップ企業BrillPower社(ブリルパワー、英国オックスフォード)と事業提携契約を締結したと発表した。日本市場におけるブリルパワー社のBMSの排他的な事業展開権を、一定期間同社が保有し、日本でのブリルパワー社の事業機会を支援するという。
経済産業省は2018年7月、電気自動車(EV)に搭載されたリチウムイオン電池の残存性能を評価するためのガイドラインを年内に策定するという指針を示した。それに伴い、使用済み電池を再利用できる市場を整備する検討に入るなど、EVの普及により拡大を続けるリチウムイオン電池の再利用に注目が集まっている。
中古リチウムイオン電池は、複数セルで構成されている場合、劣化したセル単体の性能に全体のパフォーマンスに依存するという性質を持つ。そのため充電後も、充電率が最大のセルに制限されるため、すべてのセルに充電されず、全体の充電容量が減少することになる。一方で、各セルの充電率や劣化度などを監視しつつ均一に放電することができれば、充電も均一に行われるため、無駄なく最後まで使用することが可能になる。
ブリルパワー社が提供するBMSは、こうした蓄電池の制御技術によって中古リチウムイオン電池の寿命を最大60%伸ばすとともに、充電容量を最大46%向上させることが実証されているという。中古リチウムイオン電池にBMSを用いることで、製品価値の向上とコスト削減効果が期待できるようになる。
さらに、中古リチウムイオン電池にブリルパワー社が提供する蓄電池のBMSを適用することで、二次利用蓄電池の長寿命化、高性能化が可能になるとする。これにより、低コストな据え置き型蓄電池の誕生やEV価格の低減も図れるなど、中古リチウムイオン電池のエコシステムの向上も期待できるという。
今回の事業提携についてエネチェンジの城口洋平会長は「EVなどによる使用済みリチウムイオン電池の再利用は、EVおよび蓄電池の普及に関して、最重要課題だと認識している。この分野において、欧州で高い評価を得ており、当社が企画したJEC2018(Japan Energy Challenge)でも最高評価を得た、ブリルパワー社との独占提携を発表できたことを大変うれしく思っている」などとコメントしている。
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