東北電力、変電所の運用作業に「スマートグラス」を導入:IT活用
東北電力が変電所の運転・保修業務に「スマートグラス」を導入。現場作業員への作業支援による作業品質の向上や、効率化などの効果が見込めることから導入を決めたという。
東北電力は、このほど変電所における運転・保修業務に、東芝エネルギーシステムズ、および東芝デジタルソリューションズが提供する「スマートグラスシステム」(眼鏡型コンピュータ)を導入すると発表した。
東北電力ではIoT・AI・ビッグデータなどの新たな情報技術を活用した設備運用の高度化・効率化などを推進している。その一環として、2016年度から、東芝グループと共同で、変電所の運転・保修業務の品質向上、効率化および安全性向上に資する研究・検証を行ってきた。取り組みの中で、作業現場でスマートグラスシステムを試運用したところ、現場作業員への作業支援による作業品質の向上や効率化など、有効性が確認できたことから、今回、変電所の運転・保修業務を担う電力センター(23カ所)へ配備し、運用を開始した。
スマートグラスは、作業員が着用し、内蔵カメラが捉えた目線映像や音声を、現場から遠隔地にいる支援者へリアルタイムに配信することで、支援者があたかも現場にいるかのような映像や音声を共有できる。
遠隔地支援者が、作業員と同じ映像や音声を共有しながら、ビデオ通話機能による音声伝達、さらには作業員の視界にポインターやテキストメッセージを表示させて作業を支援することで、迅速かつ正確な現場状況の把握や的確な支援による作業品質の向上や効率化が見込めるとしている。
また、災害などの有事の際には、スマートグラスから伝送された現場の映像や音声を、テレビ会議を通して、複数の事業所間でリアルタイムに共有することで、より速やかな復旧計画の立案や復旧作業などが可能となる。これら変電所の運転・保修業務にとどまらないさまざまな場面での応用が期待できることから、今後、活用範囲の拡大についても検討する。
東北電力では、今回の取り組みを通じて、変電所の運転・保修業務の品質向上および効率化を図るとともに、引き続き社外の技術や知見を活用しながら、電力の安定供給に取り組む方針だ。
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