店舗の省エネ支援AIサービス、関電とアイ・グリッドが共同開発:電力供給サービス
アイ・グリッド・ソリューションズと関西電力が、店舗や商業施設向けのエネルギーマネジメントシステムを共同開発。従来のシステムで提供していたAIを活用した需要予測や、省エネ行動の促進に加えて、店舗設備の運用改善・改修、店舗運営の支援機能を追加する。
エネルギーマネジメント事業を展開するアイ・グリッド・ソリューションズ(東京都千代田区、以下アイ・グリッド)と関西電力は、これまでアイ・グリッドが提供してきたエネルギーマネジメントサービス「エナッジ」を進化させた次世代型エネルギープラットフォーム「エナッジ2.0」を共同開発すると発表した。
同社はこれまで、日本全国の流通・小売業やアミューズメント業などの約6000の店舗や事業所に、エネルギーマネジメントサービスなどを提供。2018年6月1日からは、AIによる電力需要予測から省エネアドバイスの提案までを行う機能を備えた、エネルギーマネジメント支援サービス・エナッジの販売やサービスを開始している。
エナッジはこれまで、関西電力の一部の顧客にも提供しているが、今後もさらに多様化する顧客のニーズに対応するため、今回新システムの共同開発を決めたという。
従来のエナッジでは、顧客が所有する各店舗の電力データを、本部でリアルタイムに一元管理できるとともに、各店舗の気象データと使用電力量などの実績から24時間先までの使用電力量を予測するアルゴリズムを導入している。さらに、その予測結果に基づく省エネアドバイスによって、自発的な省エネ行動を促すのが特徴という。
このほど新たに開発するエナッジ2.0では、アイ・グリッドのAI技術、関西電力の電力ビッグデータおよび、両社のエネルギーマネジメントの知見やノウハウを活用。設備情報などの顧客固有のデータを組み合わせ、従来の省エネ行動の促進に加えて、店舗設備の運用改善・改修、さらには店舗運営のサポートまでを一体化し、個々の店舗にカスタマイズして提供する。
今後のサービス展開については、2018年11月から、家具・インテリア事業を展開するニトリがエナッジ2.0を実証導入することが決まっているという。アイ・グリッドと関西電力はその結果を受け、2019年1月から全国のより多くの業種・業態に提供できるよう、サービス開発を進める方針としている。
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