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製油所跡地にバイオマス発電所を新設、10万世帯分を発電:自然エネルギー
出光興産が山口県周南市の事業所でバイオマス発電事業を計画。製油所の跡地を活用し、出力5万kW級の発電所を建設する方針だ。
出光興産は2018年10月、同社の徳山事業所(山口県周南市)において、バイオマス発電の事業化の検討を開始したと発表した。製油所跡地を活用するプロジェクトで、営業運転の開始は2022年度内を予定している。
徳山事業所は、1957年に出光初の製油所として操業を開始。2014年3月にはエネルギー供給構造高度化法に伴い石油精製機能を停止し、現在は化学事業の主力拠点として競争力強化に向けた取り組みを実施している。
今回検討を開始したバイオマス発電事業は発電出力5万kW(キロワット)を想定し、年間発電量は一般家庭約10万世帯分に相当する3億6千万kWh(キロワット時)を見込む。発電した電力は「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用して売電する。
燃料については、営業運転開始後しばらくは輸入木質ペレットとパーム椰子殻(PKS)を使用する。中長期的には間伐材や製材端材など、国産材へのシフトを進める予定だ。これにより、環境保全に配慮した持続可能な森林づくりと林業再生、地域振興、循環型経済の構築と発展を目指すとしている。なお、燃料使用量は年間約23万トンを見込む。
出光興産ではこれまでもバイオマス発電事業に取り組んでおり、既に「土佐グリーンパワー(高知市、発電出力6250kW)および「福井グリーンパワー」(福井県大野市、7340kW、2016年4月)などが稼働している。
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