“卒FIT太陽光”の一般認知度は4割、売電先の一番人気は「民間企業」:太陽光
昭和シェル石油とソーラーフロンティアは、“卒FIT”を迎える住宅太陽光発電の登場が迫る中、発電者(プロデューサー)であると同時に消費者(コンシューマー)でもある「電力プロシューマー」に関するアンケート調査を実施。2019年12月以降、住宅太陽光の売電先が広がることなどに関しての認知度は4割程度だった。
昭和シェル石油とソーラーフロンティアは20〜60代の男女1112人を対象に、「電力プロシューマー」への期待について、個人間で取り引きができるシェアリングエコノミーの普及や、個人による電力売電への認知度、(再生可能エネルギーに由来する電力などの観点から意識調査を実施した。
今回の調査は、2019年11月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」の買い取り期間が終了する住宅用太陽光発電ユーザーが登場しはじめることを受けたもの。経産省の資産によると、こうした“卒FIT”を迎える住宅太陽光発電ユーザーは、2019年11〜12月だけで、約53万件にのぼるとみられている。卒FITを迎えたユーザーは、電力を自家消費する、あるいは電力の生産者(プロデューサー)でありながら消費者(コンシューマー)でもある「電力プロシューマー」として、企業や一般消費者向けに余剰電力を販売する流れが加速すると見られている。
調査結果の概要をみると、フリマアプリや民泊など、いわゆる「シェアリングエコノミー」で物品やサービスを購入したことがある人は27.7%。そのうち何かを販売したことがある人は60.4%となった。
利用する理由の1位は「より安価に購入、利用できる」(75.0%)で、2位は「モノや資源を効率的に活用できる」(51.0%)。販売する理由の1位は「収入を得ることができる」(74.7%)で、2位は「モノや資源を効率的に活用することができる」(66.7%)と続いた。
2019年12月以降、卒FITを迎えることで電力の売電先が広がることや、将来的に発電した電力を一般家庭にも直接売買できる可能性を知っていた人は39.8%で、約4割にとどまった。
自分で創りだしたものを消費する側にも提供する「プロシューマー」になった経験がある人は15.1%と限定的だが、余剰電力を活用して、太陽光発電で発電した電力の販売先を自らの判断で選定する電力プロシューマーになることについては、「とてもよいことだと思う」(24.5%)「よいことだと思う」(30.2%)の回答が54.7%を占め、過半数が肯定的な回答を示した。
こうした肯定的な回答をしたユーザーに、その理由を聞いたところ、「太陽光で使い切れない電気を有効活用できそうだから」(57.1%)が最多で、これに続いて「環境にやさしい電力を広げられそうだから」(56.4%)、「節電、省エネの意識が高まりそうだから」(40.3%)
といった環境に関する回答が上位となった。
また、電力のプロシューマーから、電力を購入することについては「とてもよいことだと思う」(18.7%)、「どちらかというとよいことだと思う」(29.4%)の合計は48.1%で、約半数を占めた。
太陽光発電により発電した電力を、家庭同士で直接取り引きでき、電力の生産者が分かるサービスがあったら利用したいか、という問いでは、最も多い回答は「どちらともいえない」(41.5%)となったが、「ぜひ利用してみたい」(13.5%)、どちらかというと「利用してみたい」(26.9%)と答えた人の合計も40.4%におよんだ。
この他、自宅の住宅用太陽光発電で得た電力を自由に売れるとしたら、どこに売りたいかという問いに対しては、「民間企業」(42.1%)が最多で、「一般家庭」(33.0%)、「観光庁・公的機関」(29.0%)が続いた。
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