鉄道施設の食品廃棄物をバイオガス化、1.1万世帯分の電力に:自然エネルギー
JFEエンジニアリング、JR東日本らが建設を進めてきた食品リサイクルプラントが本格稼働。食品廃棄物から得たバイオガスで、年間1.1万世帯分に相当する電力を発電する計画だ。
JFEエンジニアリング、JR東日本などが出資するJバイオフードリサイクル(横浜市)が、横浜市で建設を進めていた食品リサイクルプラントが、2018年11月から本格的に稼働を開始した。食品廃棄物から生成したバイオガスを利用する発電事業に取り組む。
この課題を解決するため、JFEエンジニアリンググループとJR東日本グループは2016年8月にJバイオフードリサイクルを設立し、食品廃棄物を再生可能エネルギーに変える事業を開始した。脂分や塩分、包装などの混入が多く、飼料化や肥料化によるリサイクルが難しかったJR東日本グループの駅ビルなどから発生する食品廃棄物を、再生可能エネルギー源として利用するのが目的だ。
Jバイオフードリサイクルは同事業で、日量80トンの食品廃棄物を微生物により発酵させ、そこで発生するメタンガスを燃料にして発電を行う。食品リサイクルプラントの発電出力は1800kW(キロワット)、年間発電量は一般家庭の約3000世帯分に相当する約1万1000MWh(メガワット時)を見込む。発電された電力は施設で消費する他、「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)」を活用して、JFEエンジニアリング100%出資の電力小売会社であるアーバンエナジー(横浜市)に売電する。
Jバイオフードリサイクルの資本金は6000万円。JFEエンジニアリング(出資比率10%)、JFE環境(同56%)、JR東日本(同17%)、東日本環境アクセス(同17%)が出資している。
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