「パイナップル発電」で電力コストとCO2削減、伊藤忠がフィリピンで:自然エネルギー
伊藤忠商事がフィリピンの食品子会社を通じて「パイナップル発電」に取り組む。商品の製造過程で生じるパイナップル残渣からバイオガスを生成して発電を行う。電力コストの削減とCO2排出量の削減につなげる狙いだ。
伊藤忠商事のグループ会社であるDole Philippines(フィリピン、以下Dolefil)は、Metro Pacificグループ傘下のSurallah Biogas Venture(同国、以下SBVC)と16年間の長期エネルギー売買契約を締結した。食品企業であるDolefilの商品の製造過程で生じるパイナップル残渣(ざんさ)を、バイオガスの原料としてSBVCに供給し、製造されたバイオガスを電力としてSBVCからDolefilが買い取る。この取り組みによりDolefilは、再生可能エネルギーの活用を通じた環境負荷の低減と電力コスト削減を図る狙い。
Metro Pacificグループは、フィリピンで電力・水道・病院・高速道路などを運営する大手企業グループ。同社傘下のSBVCがバイオガス発電設備を建設し、2020年の操業開始以降、ガスと電力を固定価格でDolefilに16年間にわたって供給するスキームとなっている。フィリピン・ミンダナオ島では電気料金が上昇しており経営課題の一つとなっており、これらの解決にも寄与することを期待している。
伊藤忠商事は中期経営計画「Brand-new Deal 2020 いざ、次世代商人へ」の中で「エネルギーの最適な利用と供給」「テクノロジーを活用した経営の生産性向上」を掲げており、今回の取り組みはこれらに合致するものだという。サステナビリティ推進を含めて、これらの事業活動を通じて、循環型社会の構築に積極的に取り組む考えだ。
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