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貼るだけで空調電力を39%削減、透明性も保てる遮熱フィルム:省エネ機器
東レが新しい遮熱フィルムを開発。高い遮熱性能を持ちながら、透明性を保てるのが特徴という。実証では通常のクリアガラスより39%高い冷房負荷削減効果を示したという。
東レは2019年1月、ガラス並みの透明性を維持しつつ、太陽からの赤外線に対する世界最高レベルの遮熱性を備えた遮熱フィルムを開発したと発表した。NEDO事業のもとで開発を進めているもので、今後さらなる遮熱性能の向上を図り、2022年の実用化を目指す方針だ。
同社は2008年にナノ積層フィルム「PICASUS(ピカサス)」を発表。ナノスケールの厚みの層を数百〜千層重ねたフィルムで、層の厚みや配列デザインによって特定の波長の光を反射させることができる。しかし、従来のナノ積層技術では、室温の上昇につながる赤外線の反射性能を向上させようとすると、フィルムに色付きが発生するという課題があった。
そこで今回、全てのナノ積層の1層ごとに高い制度で厚みの制御を行う技術を開発するとともに、新しい層配列デザインを導入。これにより、従来のナノ積層技術では困難だった高い透明性と遮熱性を両立させた。
開発した遮熱フィルムは、共同研究先である産業技術総合研究所中部センターにある環境調和実験棟において実施した遮熱試験において、通常のクリアガラスと比べて39%、市販の高性能・透明遮熱フィルムと比較して11%の冷房負荷削減効果を示したという。
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