国内で約22年ぶり、岩手県で7MW級の地熱発電所が本格稼働:自然エネルギー
岩手県八幡市で建設が進んでいた「松尾八幡平地熱発電所」が本格稼働を開始。出力は約7.5MWで、国内で中規模クラスの地熱発電所が稼働を開始するのは約22年ぶりになる。
岩手地熱(岩手県八幡平市)は、岩手県松尾八幡平地域で2019年1月から「松尾八幡平地熱発電所」の運転を本格的に開始した。定格出力7499kW(キロワット)で、出力7000kWを超える地熱発電所の稼働は国内で約22年ぶりという。
岩手地熱は松尾八幡平地域における地熱開発を目的に、日本重化学工業(2019年1月現在の出資比率14.959%)、地熱エンジニアリング(14.956%)、JFEエンジニアリング(29.913%)、三井石油開発(29.913%)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC、10.258%)の出資で2011年10月に設立。2013年から構造試錐井の掘削を進めてきた。2017年には事業化を決定し、同年4月に発電所の建設を開始した。
発電設備は地熱蒸気によりタービンを直接回すシングルフラッシュ式を採用。年間発電量は一般家庭約1.5万世帯相当を見込む。発電した電力は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」を活用して東北電力へ売電し、JFEエンジニアリングの100%子会社であるアーバンエナジーが特定卸供給先となっている。また、石油天然ガス・金属鉱物資源機構から助成金や出資を受け、債務保証対象事業として採択された国内初の案件になるとしている。
なお、国内で最後に稼働した7000kW以上の地熱発電所は、1996年に稼働した九州電力の「滝上発電所」。出力2万7500kWで、大分県の南西部の久重町に位置する。
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