電力データで金融口座の不正開設を防ぐ、関西電力らが新技術を検証:IT活用
関西電力は不正アクセス検知サービスの開発を行うカウリスと共同で、電力設備情報を活用して不正な金融口座の開設を防止する技術を実証する。
関西電力と不正アクセス検知サービスの開発を行うカウリス(東京都千代田区)はこのほど、金融と電力データを活用した分野で第1号となる「新技術等実証制度」(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)の認定を取得したと発表した。
「規制のサンドボックス制度」は、新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進することを目的に、生産性向上特別措置法(2018年6月6日施行)に基づき創設された。参加者や期間を限定することなどにより、既存の規制の適用を受けることなく、新しい技術等の実証を行うことができる環境を整えることで、迅速な実証を可能とするとともに、実証で得られた情報・資料を活用できるようにして、規制改革を推進する制度となっている。
両社が提出している新技術等実証計画では、両社の持つリソースを組み合わせることで、不正な銀行口座(アカウント)の開設を防止する新たな技術の実効性を検証することとしにしている。
カウリスは、これまでインターネットサービス事業者からIPアドレスなどの情報を収集し、申請したユーザーが本人であるかどうかを検知する「なりすまし検知サービス」を金融機関などに提供してきた。
実証計画では、カウリスの持つ不正アクセス検知の技術に加えて、関西電力の保有する電力設備情報の一部を組み合わせることにより、より確度の高い、なりすましの可能性に関するリスク情報を提供することとし、セブン銀行で活用する。
具体的には、セブン銀行が口座開設申請者の情報をカウリスに提供。この情報をもとに関西電力が電力設備情報と照合して結果を返答し、カウリスは結果を踏まえてなりすましの可能性に関するリスク情報をセブン銀行に提供する。これにより、セブン銀行は不正口座の開設を防止する狙いだ。なお、同実証計画の策定に当たっては森・濱田松本法律事務所による監修を受けている。
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