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日本との国際協力に期待も、韓国のソーラーシェアリング事情ソーラーシェアリング入門(13)(2/2 ページ)

農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は2019年3月に韓国で開催された「日韓営農型太陽光発電政策・技術交流会」に筆者が参加した内容を踏まえ、韓国のソーラーシェアリング事情について解説します。

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普及は日本を上回るペース、国際協力にも期待

 2019年3月7日には、大田広域市にある韓国電力公社電力研究院において、日韓営農型太陽光発電技術交流会が開催されました。その中では、韓国電力公社の発電事業子会社である韓国西部発電や、電力研究院、全南農業技術院などによる研究成果の発表があり、韓国国内での導入ポテンシャルや普及の適地に関する分析の他、作物に対する最適設計や専用モジュールの開発など、幅広いジャンルの報告がなされました。これは日本でいえば東京電力ホールディングス、NEDO、産総研、農研機構に経産省や農水省などが一堂に会して、ソーラーシェアリングという1つのテーマでシンポジウムを行うようなものです。その報告の内容は私たちも驚くものばかりでした。

 日本側からは私を含めた9名の代表団で出席し、匝瑳市や淡路島での取組事例発表や施工技術・栽培研究に関する紹介、そして千葉エコ・エネルギーの大木戸での実証試験や、ソーラーシェアリング推進連盟の活動などについて報告しました。


日韓営農型太陽光発電技術交流会でのプレゼンテーション

 やはり、民間・農業者主体での事業がこれからスタートする韓国側としては、日本で民間主導によりソーラーシェアリングが始まっていること、その取り組みの動機やスキーム、ファイナンスや施工方法、農産物の生育や出荷された作物への消費者の評価など、幅広い質問が飛び交いました。韓国でも、FIT(2011年で終了)を始めとする再生可能エネルギー普及促進策の中で、野立ての太陽光発電の乱開発が問題視されることになり、日本と同様に山林開発型のメガソーラーが社会問題になったそうです。その結果、Renewable Energy Certificate (REC、自然エネルギー証書)の中では、出力3000kW以上の太陽光発電に対してREC Weightingを0.7に引き下げ、中小の野立てや屋根置き、水上型よりも不利な扱いにしています。ソーラーシェアリングについては、水上型と同様に最も有利なREC Weightingが予定されているとのことです。

 韓国は、日本より大きく遅れてソーラーシェアリングに取り組み始めましたが、先行事例に学ぶことで急速な普及拡大を図ろうとしており、2030年には1000万kWを国内に導入する計画となっています。その達成に向けた制度作りも進んでおり、農村で受け入れられれば、おそらく2〜3年で導入量は日本を上回ることになるでしょう。

 一方、日本国内では野立てに比べて導入量が少ないことに伴う専用資材価格の高止まりなどが影響し、融資や作物研究など周辺環境が整っていかないといった事情もあり、今後普及が先行するであろう韓国との国際協力によって、その穴を埋めていくことができるのではと考えています。そして、同様の動きが他のアジア諸国でも見られる中で、ソーラーシェアリングの本家である日本でも導入促進のための制度整備が進むことを期待しています。

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