ブロックチェーンで再エネ電力を融通、中国電力と日本IBMが共同実証:太陽光
中国電力が日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)と共同で、再生可能エネルギーで発電された電力を顧客間で融通するシステムの実証試験を開始した。
中国電力は2019年4月、日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)と共同で、再生可能エネルギーで発電された電力(再エネ電力)を顧客間で融通するシステムの実証試験を開始したと発表した。
2019年11月以降、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」に基づく買取期間が満了となる住宅太陽光発電ユーザーが登場しはじめる。こうした卒FITユーザーは、蓄電池の活用などにより自家消費することや、自ら選択した事業者に電力を売電することになる。
一方、再生可能エネルギーなどの分散型電源や蓄電池の普及拡大に伴い、将来的には個人や企業間で電力取引が行われる可能性も予想されている。そこで、中国電力と日本IBMでは、取引記録の信頼性、システムの可用性などに優れるブロックチェーン技術を活用したP2P取引(Peer-to-Peer、顧客同士が電力あるいはその環境価値などを直接やり取りする手法)について今回、実証試験を行うこととした。
実証試験では、ビジネス向けのブロックチェーン基盤技術を活用したシステムをIBMクラウド上に構築し、再エネ電力(太陽光発電)を供給する顧客と購入を希望する顧客をマッチングする模擬的な電力取引を行う。実際に計量された太陽光発電量および電力消費量を模擬データとして使用し、ブロックチェーン技術の適応性や新たなサービスの成立性を検証する。
取引の成立は、高値の買い札から順に約定(30分単位)し、再エネ電力を供給する顧客の約定量は供給量に比例して配分。そして、ブロックチェーン上に取引結果を記録するという流れになる。
同実証を通じて、中国電力は、ブロックチェーン技術の適用に関する知見を獲得するとともに、デジタル化技術を活用し、電力事業のイノベーションや地域の課題解決につながる新たなビジネスモデルの検討などを行う方針だ。
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