給湯器の「沸き上げシフト」で太陽光を有効活用、電力網の安定化にも貢献:エネルギー管理
四国電力が太陽光発電の有効活用や電力網の安定化に向け、家庭用給湯器を利用した電力需要調整を行う実証実験に取り組む。出力が変動する太陽光発電などの導入拡大において課題となる電力網の安定化や、太陽光発電の有効活用に役立てる狙いだ。
四国電力と同社グループの四国総合研究所は、家庭に設置された電気給湯器の湯沸かし運転に太陽光発電電力を用いる遠隔制御実証試験を実施すると発表した。家庭用給湯器「エコキュート」などを遠隔から制御して電力需要をコントロールすることで、出力が変動する太陽光発電などの導入拡大において課題となる電力網の安定化や、太陽光発電の有効活用に役立てる狙いだ。
実証では気象予報に基づき翌日の四国域内の太陽光発電量を予測し、四国総研が開発したデマンドレスポンス技術を用い、通常、夜間に行う電気温水器や「エコキュート」の沸き上げ運転の一部を翌日の昼間にシフトする。それにより、太陽光発電電力の有効活用を図るとともに、電力の需給運用安定化につなげる試験を実施する。
今後募集する高松市内および中西讃地区の、電気温水器・エコキュートなど試験対象機種の電気給湯器を設置している個人客のモニター40軒(条件を満たす客には、別途、ダイレクトメールを郵送し募集する)を対象に、準備が完了したモニター宅から順次実証試験を実施。試験終了後に制御機器を撤去する。
実証期間は2019年秋から約1年間で、試験の内容は、翌日の太陽光発電量予測に基づき、電気給湯器の沸き上げ運転の一部を翌日昼間にシフトさせる他、四国総研が開発したデマンドレスポンス技術の確認とその効果の評価、客の利便性への影響評価などについてデータ収集・分析・評価を行う。
両社は、実証試験を通じて得られる知見や顧客モニターからの声を生かしながら、同技術の実用化の可能性検討を行うなど、引き続き、効果的で有効なエネルギー活用に向けた取り組みを進める方針だ。
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