深まるSDGsとソーラーシェアリングの関係性、「儲かる」を越えた価値の創出へ:ソーラーシェアリング入門(15)(3/3 ページ)
太陽光発電と農業を両立する手法として、近年、国内で大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は昨今注目があつまっているSDGsとソーラーシェアリングの関係性について考察します。
SDGsでソーラーシェアリングは「2.0」へ
私が千葉エコ・エネルギーとして運用している千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機では、このソーラーシェアリングが持つ新たな価値を社会実装するため、「農業を化石燃料から解放する」というミッションを掲げて「アグリ・エナジープロジェクト」に取り組んでいます。
現在、我が国の農業部門で消費されるエネルギーの95%が石油など化石燃料の直接消費であり、太陽光発電や風力発電などの導入拡大によって再生可能エネルギーの電源構成に占める割合が増加するだけでは、農業の低炭素・脱炭素が進んでいきません。農地でエネルギーを生産することで、農業自体に使用されるエネルギーを転換し、農業の持続可能性を高めていくことが必要であり、そのためにアグリ・エナジープロジェクトでは農業の電化や熱利用・燃料の転換など幅広い取り組みを行っています。
ソーラーシェアリングは、当初の導入メリットとして捉えられていた農業者・農村におけるエネルギー事業での単純な収入増加という視点から、再生可能エネルギー普及の大きなポテンシャルを開拓し、農村と農業の持続可能性を確保し、エネルギーと食料の安定供給による社会全体の安定と発展というSDGsに対応する視点の導入によって、「ソーラーシェアリング2.0」と言える新たな段階に突入しています。
この「ソーラーシェアリング2.0」の段階では、これまでの単なる農村・農業者の所得向上、発電事業者による地域への収益還元という限られた視野から脱却し、農業という産業自体の価値を向上させ、人類社会全体の発展に寄与する仕組みとして取り組むことになるでしょう。
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