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水素と蓄電池で動くハイブリッド鉄道車両、JR東日本が実証走行へ:蓄電・発電機器
JR東日本が燃料電池と蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムで駆動する鉄道車両を開発すると発表。2021年度中に実際の営業路線で実証走行に取り組む計画だ。
JR東日本は2019年6月4日、燃料電池と蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムで駆動する鉄道車両を開発し、営業路線で走行実証を開始すると発表した。車両の完成と実証走行は2021年度中を予定している。
開発する車両はFV-E991系の2両1編成を利用。燃料電池車向けの充填(じゅうてん)圧力70MPa(メガパスカル)に対応する水素タンクと、出力180kW(キロワット)の固体分子型燃料電池を搭載する。加えて容量25kWh(キロワット時)のリチウムイオン電池2台を搭載し、燃料電池と蓄電池の両方から主電動機や補助電源装置にエネルギーを供給するハイブリッドシステムを構成する。蓄電池にはブレーキ時の回生電力の他、主電動機の負荷電力が小さい場合に燃料電池から電力供給を行い、蓄電を行う仕組みだ。
開発車両の走行実証エリアは、鶴見線、南武線尻手支線および南武線(尻手駅〜武蔵中原駅)を予定している。なお、この実証走行に向けてJR東日本は、神奈川県、横浜市、川崎市と連携する他、日本貨物鉄道、昭和電工と実証に向けた設備整備に関する基本合意を締結。車両の開発については燃料電池車を展開するトヨタ自動車が協力を行う。
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