FITを利用しない再エネ電源にも「非化石証書」を、日本ユニシスが認定業務を開始:自然エネルギー
日本ユニシスが政府からの委託を受けた第三者機関として、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の適用を受けていない再生可能エネルギー電源(非FIT非化石電源)に対する、環境価値の認定業務を開始。非FIT非化石電源についても非化石証書を発行できるようにするのが目的だ。
日本ユニシスは2019年6月13日、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」の適用を受けていない再生可能エネルギー電源(以下、非FIT非化石電源)に対する認定業務を開始したと発表した。この認定によって、非FIT非化石電源についても非化石証書を発行できるようにするのが目的だ。
2018年5月から、再生可能エネルギーや原子力発電などの「非化石電源」の環境価値を証書化し、これを小売電気事業者が調達できる非化石取引市場がスタートした。現在は、FITの対象となる電源の非化石証書が取り引きされているが、2020年4月以降から非FIT非化石電源についても非化石証書を発行し、市場を通じてその環境価値の取り引きをできるようにする制度設計が進められている。
非FIT非化石電源の環境価値の取り扱いに関するイメージ。出典:第32回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会「資料 4-1 第二次中間とりまとめ(案)」
非FIT非化石電源に対して非化石証書を発行するためには、その電源の環境価値の所在を明らかにし、公平性を保つためにその価値を二重利用(ダブルカウント)しないようにするひつようがある。日本ユニシスはその認定を行う現在唯一の第三者機関として、政府から業務委託を受けている(「エネルギー供給構造高度化法に基づく非化石電源に係る認定業務」)。
具体的な認定の業務として、FITを利用しない非化石電源に関する情報を集計し、管理する新たな情報基盤の管理手法を構築するとともに、2019年度に非化石電源が発電した電力量の認定に伴う実務を行う。加えて、認定業務に関する制度の周知活動、非化石電源の利用促進に関する施策の検討などを手掛ける。
FITを利用しない再エネの非化石証書を利用することにより、非FIT再エネを所有する発電事業者などは証書の売却収入を得ることができるようになる。一方、2009年に制定されたエネルギー供給構造高度化法に基づき、「供給電力の非化石電源比率を2030年までに44%以上にする」ことが求められている小売電気事業者は、非化石証書を調達しやすくなるメリットがある。
関連記事
- ブロックチェーンによる「非FIT再エネ」の環境価値取引、環境省が主導
ブロックチェーンにより、電力関連サービスの新しいスタイルを模索する動きが本格化している。ブロックチェーンを使えば、消費者間で再エネを取引することも可能になるという。ブロックチェーン技術は、再エネを取り巻く状況に、どんな変化をもたらすのか? - 再エネ価値の取引市場、初入札は低調な結果に
再生可能エネルギー電源の価値を取引できる「非化石価値取引市場」の初入札が、2018年5月中旬に実施された。結果は約定率が0.01%程度と低調で、入札価格の設定など、今後の課題が浮き彫りとなった。【訂正あり】 - 再エネが企業競争力を高める時代へ、脱炭素化を目指す日本企業の戦略とは?
企業による再生可能エネルギー導入拡大の動きが、日本でも加速している。再生可能エネルギーへの積極的な取り組みは、企業の競争力を高めることに結びついているという。本稿では、RE100への加盟でも知られる積水ハウスとイオンの取り組みについて紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.