FIT抜本改革で激変する太陽光発電市場、ソーラーシェアリングの扱いはどうなるのか?:ソーラーシェアリング入門(22)(2/2 ページ)
太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は、政府が進めている「FIT制度の抜本改革」の議論の中で見えてきた、ソーラーシェアリングの取り扱いの方向性について解説します。
ポイントは「10年許可」
上記の資料のなかで、「エネルギー分野以外の行政分野との連携案件(例:耕作放棄地の農地転用による営農型太陽光発電)は、その行政分野における厳格な要件確認ができるものについて、どのように取り扱うことが適切か」との一文があります。ここが、ソーラーシェアリングについて小規模事業用太陽光発電の枠の中でも、まだ低圧野立てとは違った扱いの可能性を残していた部分になります。そして、第50回調達価格等算定委員会で出てきた資料が下記です。
結論としては、2018年5月の営農型太陽光発電に関する制度変更で創設された、いわゆる「10年許可」を取得できるソーラーシェアリングについては、地域活用要件を満たすものとして認めることにしてはどうか、という案になっています。従って、一時転用許可申請において「10年許可」の要件を満たしたソーラーシェアリングについては、来年度も全量FITが認められるという形が見えてきました。
この議論の過程で重視されたのは、とにかく低圧規模の太陽光発電は設備面や運用面でのトラブルが多く、それを未然に防ぐような行政手続きが定められているものは何かという点です。ソーラーシェアリングの場合は、全ての事業計画が農業委員会による審査を受け、かつ一時転用許可期間中は毎年の営農報告によるチェックと、許可更新時の審査も行われます。それに加えて、「10年許可」というより厳しい要件をクリアするものに絞ることで、地域活用要件を充足するという整理が行われました。
この辺りは年明けまで調達価格等算定委員会での議論が続くテーマであるため、細部はまだ変わってくる可能性があります。資源エネルギー庁や農林水産省との意見交換は継続しておこなっていますので、内容が固まってきたら本連載でもまた紹介していきます。
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