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トヨタが船用の燃料電池システム、再エネで世界一周航行を目指すプロジェクトに:蓄電・発電機器
再生可能エネルギーで世界一周航行を目指す燃料電池船のプロジェクトに、トヨタが船舶用の燃料電池システムを供給。燃料電池車「MIRAI」の技術を応用した。
トヨタ自動車(トヨタ)と同社の欧州事業会社であるToyota Motor Europe(TME)は2020年2月、再生可能エネルギーで世界一周航海を目指しているフランスの「エナジー・オブザーバー号」向けに、燃料電池システムを開発したと発表した。
エナジー・オブザーバー号は、太陽光や風力の再生可能エネルギーや海水から生成した水素で、世界一周航海を目指すプロジェクトのために建造された自立エネルギー型燃料電池船。2015年にフランスのヨットレーサーのビクトリアン・エルサール氏と、探検家でドキュメンタリー作家のジェローム・ドラフォス氏らが立ち上げたプロジェクトで、6年かけて50か国、101の港に立ち寄りながらの世界一周を目指している。2017年6月にフランス北部のサン・マロ港を出発して、既に25カ国の港に寄港し1万8000海里の航海を行っている。
トヨタはこのプロジェクト立ち上げ時からスポンサーを務めている。そこで、エナジー・オブザーバー号のさらなる高性能化に向け、新たに船舶用の燃料電池システムの開発に取り組んだ。市販の燃料電池車である「MIRAI」の燃料電池技術を活用し、従来のシステムより高出力化とシステムの小型化を両立したという。
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