FIT抜本改革で転機を迎える太陽光発電市場ーーJPEA・経産省が語る今後の展望:太陽光(3/3 ページ)
FIT制度の抜本改革が進むなど、再エネ業界にとって大きな変化の年となりそうな2020年。1月に開催された太陽光発電協会(JPEA)の新春交流会では、太陽光業界、経産省、再エネ議連のキーパーソンが太陽光発電の“これから”を語り、その発言には大きな注目が集まった。
自民党 再エネ議連、「政治の後押し」をアピール
続いて登壇したのは、自由民主党 再生可能エネルギー普及拡大議員連盟会長の柴山昌彦衆議院議員。「国際社会の流れ、これからの環境など、いろいろと太陽光発電に追い風が吹いている」との認識のもと、「政治の後押し」をしていきたいと表明した。
「国際競争という点でいうと、何が真に日本の国益になるのかということを考えなければならない。技術開発についても、地域分散型を構築していくためにも、きめ細やかな制度づくりが求められる。ソーラーシェアリングなど、農地における役割分担も必要となってくる。メンテナンスや安全性に関する問題への対処なども進め、地域の理解をしっかりと得ることも大事。地方公共団体が太陽光パネルに課税することを検討しているという話もあるが、そういったことにも声を上げ、筋の通らないことは排除していきたい。系統整備をしていく上での費用分担をどうするか、発電側基本料金の問題もでてきているが、私たちとしてもしっかりとチェックしていきたい」(柴山氏)
柴山氏は最後に「日本の再エネが信頼できる投資環境にあるかどうかを、世界の投資主体が見ている」と指摘。「いずれにしても、今年が非常に大事な年になることは間違いない」と締め括った。
来賓挨拶、乾杯の後は、参観者それぞれに立食と歓談を楽しんだ。経産省審議会でのFIT抜本見直しの議論も大詰めを迎え、その概要が見えてきたこともあり、新制度下でのビジネスモデルについて情報交換をする姿が多く見られた。太陽光発電にとっては厳しさを増す新制度ともなりそうだが、参加者はおしなべて笑顔で、会場は新たなスタートへの期待感に包まれているようだった。
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