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民間企業間で再エネをP2P取引、“ポストFIT”を見据えた電力融通プロジェクト始動:電力供給サービス(2/2 ページ)
太陽光発電などの発電事業者と需要家をつなぎ、民間企業同士で再エネ電力取引を行えるようにする実証プロジェクトが始動。「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用しない再エネ電力の活用スキームと需要拡大を目指す動きが広がってきた。
+1円/kWhで再エネ由来電力を供給
昨今「RE100」への加盟企業が増加するなど、国際的に企業が脱炭素化に取り組む流れが加速している。一方、日本国内における再生可能エネルギー由来電力の調達コストはまだ高い状況にある。FAプロダクツによると、電力会社が提供するグリーン電力プランは、一般的な産業用電力の単価に4〜5円/kWhほど上乗せする価格帯であるケースが多いという。今回のプロジェクトではDGPにより発電事業者と需要家を直接的につなぐことで、一般的な産業用電力の単価に1円/kWh程度上乗せした価格で再生可能エネルギー由来電力を供給することを目指すとしている。
プロジェクトではこうした相対電力取引の仕組みの構築や、DGPのシステム検証、課題の抽出を行うとともに託送電力供給に関する送配電事業者との協議、接続実績を作る方針。その他、環境価値取引の証明や、DGPを利用する際に必要な需要家側に設置する専用機器など、ハードウェア面の検証も行う。
これらを第1フェーズと位置付け、第2フェーズではDGP上での複数の発電事業者と需要家間でのより高度な電力取引や、蓄電システムを利用した再生可能エネルギー供給時間の延長など、プロジェクトの拡大に必要な取り組みの検証を進める。
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