2020年度のFIT価格が正式決定、「地域活用要件」など太陽光市場に大きな変化:法制度・規制
経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)における2020年度の買取価格・賦課金単価などを公表。需要家が負担する賦課金単価は2019年度から0.03円上がり2.98円/kWhとなった他、「地域活用要件」などの新たな認定制度が設けられている。
経済産業省は2020年3月23日、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)における2020年度の買取価格・賦課金単価などを公表した。需要家が負担する賦課金単価は2019年度から0.03円上がり2.98円/kWhに。平均モデルの家庭(月額電力使用量260kWh)の場合、月額774円、年額9288円の負担額となる。2019年度比で年額84円、月額7円の負担増となった。
「地域活用要件」など新たな認定条件が登場
2020年度の事業用太陽光発電の買取価格は、10kW以上50kW未満を13円/kWh、50kW以上250kW未満が12円/kWhで、250kW以上は入札制度で価格を決定する。入札制度の対象がこれまので500kW以上から拡大されたかたちだ。
さらに、10kW以上50kW未満のいわゆる小規模事業用太陽光発電は、FIT認定を受ける要件として、自家消費型で災害時に活用可能であることなどを条件とする「自家消費型の地域活用要件」を設定する。FITによる買い取り対象となるのは、余剰電力のみだ。一方、野立て型の全量売電モデルの事業については、FIT制度による支援は事実上打ち切りとなった。
小規模事業用太陽光発電が地域活用要件として認められるための自家消費率については、自家消費率30%以上が条件となる。さらに、停電時などにおける自立運転機能も必要だ。なお、小規模事業用太陽光のうち、農地の一時転用の認可を受けた営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の場合は、自家消費を行わない案件であっても、自立運転機能を備えていれば地域活用要件を満たすものとして認定する。なお、住宅用太陽光発電の買取価格は21円/kWhとなっている。
1万kW未満の一般木材等によるバイオマス発電は、2019年度と同じ24円/kWhが適用される。1万kW以上やバイオマス液体燃料(全規模)の買取価格は入札制度で決定する。
風力発電については、新設案件については2019年度から1円下がった18円/kWhが適用される。その他のリプレース案件や浮体式洋上風力についてはそれぞれ16円/kWh、36円/kWhで、2019年度から据え置きとなった。着床式洋上風力は、入札制度によって価格を決定する。なお、その他の水力や地熱については、これまでと同じ価格となっている。
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