過積載率アップが可能に、富士電機がメガソーラー向け大容量パワコンを新開発:太陽光
富士電機が大容量の太陽光発電用パワーコンディショナー(PCS)の新製品「PVI1500CJ-3/2500」の販売を開始。メガソーラー向けのPCSで、同社製品として最大容量の2500kVA(キロボルトアンペア)、最大入力電圧はDC1500Vの製品だ。
富士電機は2020年4月14日から、大容量の太陽光発電用パワーコンディショナー(PCS)の新製品「PVI1500CJ-3/2500」の販売を開始した。メガソーラー向けのPCSで、同社製品として最大容量の2500kVA(キロボルトアンペア)、最大入力電圧はDC1500Vの製品だ。
太陽光発電では日差しが弱い時間帯の発電量を高めるため、PCSの定格出力を超える太陽光パネルを設置する、いわゆる過積載が一般的となっている。一方、PCSは太陽光パネルで発電された直流の電力を、搭載されるパワー半導体で交流に変換するが、電力変換時に電圧が跳ね上がり、許容値(最大入力電圧)を超えた場合、パワー半導体の故障につながってします。
富士電機の従来モデルのPCSではこの跳ね上がりを考慮し出力できる電圧を最大入力電圧の85%としていたが、新製品は電力変換回路を見直し、90%まで高めた。これにより過積載できる太陽光パネルの容量を増やすことができる。過積載率を従来の150%から200%にした場合、発電量を最大で2割向上させられるという。
この他、パワー半導体などで構成される3つのインバーター回路を搭載。従来は低出力時でも全てのインバーター回路が作動していたが、新製品では出力の大きさに応じて作動回路数を最適制御する仕組みとなっており、定格出力の5〜30%という低出力時の発電効率を3.5〜0.5pt向上させた。
最大電力点追従制御(MPPT)の電圧範囲はDC915V〜1350V、定格出力電圧はAC590V。変換効率は最高98.7%、EU効率98.5%。本体寸法は2025×1300×さ2594mmで、重さは4000kgとなっている。
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