「アフターコロナ」とソーラーシェアリング、未来の持続可能性を見据えて:ソーラーシェアリング入門&〜番外編その2〜(3/3 ページ)
「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。新型コロナを受けての番外編の後半となる今回は、緊急事態宣言が発令される中で、千葉エコ・エネルギーはどのようにソーラシェアリングを運用しているのかといった“現在の働き方”を紹介するとともに、“アフターコロナ”の営農のあり方について考えます。
アフターコロナの社会を見据えて
緊急事態宣言後に経済産業省などからの通知もあった通り、電力など社会インフラを支える企業には事業継続が要請され、同時に農業もまたこの社会情勢下で食料需要を満たしていくというミッションが強くなったと感じています。ソーラーシェアリングでエネルギーと農作物を生産し、その取り組みを新しい働き方で実現していくことで、アフターコロナの社会に私たちがどう貢献していくのかを考えていきたいと思います。
コロナウイルスによる経済停滞は、大都市一極集中の働き方や住み方がもたらす負の側面も浮き彫りにしました。人が密集し、密接な環境下で働き生活していくことによる経済的なメリットは確かにある一方で、感染症の拡大防止を図るために経済活動が抑制状態に入ると、仕事も生活も成り立たなくなってしまうこともまた、多くの人々が経験しています。
新興感染症による社会変化は、私自身が10年以上前からイメージしてきた現代社会の大きなリスク要素でした。2009年の新型インフルエンザ、2014年のエボラ出血熱という世界的な感染症拡大リスクに触れる中で、人類社会の脅威は国家間や非対称の戦争・紛争よりも新興感染症のパンデミックだろうと考えてきましたが、コロナウイルスでそれが現実のものとなりました。
社会がどのように変わっても、エネルギーと食料は絶対に必要とされるものです。私たちはその持続可能な確保のために、ソーラーシェアリングのある農地で得られる電気を活用して農業の低炭素化を進めたり、農村のBCP対策を進めたりという実証事業を、奇しくもこの春から始めようと準備をしてきました。今回は千葉エコの働き方を紹介しましたが、この新しい農村モデル作りについても今後の生き方・働き方を考えるテーマとして、いずれ取り上げていきたいと思います。
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