FIT認定の「失効制度」の方針が明らかに、太陽光以外の電源にも運開期限:法制度・規制
経済産業省は2020年8月31日に有識者会議を開き、FIT抜本改革の一環として議論が進む再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT制度)の認定失効制度について、具体的な制度設計の内容を議論した。
経済産業省は2020年8月31日に有識者会議を開き、長期未稼働案件に対する再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT制度)の認定失効制度について、具体的な制度設計の内容について議論した。
認定失効制度は「FITの抜本改革」において、過去の高い調達価格の権利を保持したまま長期にわたり運転を開始しない案件への対策として設計が進められているもの。ただしこれまでの議論で、2000kW(キロワット)以上の太陽光発電事業については、2022年4月の改正法施行日までに工事に着手すれば認定の失効リスクを取り除くことになっている。
今回の有識者会議では2000kW以上の太陽光発電事業以外の制度全体像について、方針が示された。まず、FIT認定の失効期間の設定に当たっては、運開期限を過ぎて未稼働の状態が継続する案件について、運開期限1年後の時点の進捗状況で適用判断。そして、具体的な進捗状況ごとに、以下のような規律を適用するとした。
- 系統連系着工申込みを行っていない案件は、運開期限の1年後の時点で認定を失効
- 系統連系着工申込みを行った案件は、進捗を評価できる一方、一定期間内に運転開始まで至る可能性が高いと考えられることから、運開期限に猶予期間として、運転開始期間に当たる年数を加え、その到来をもって、認定を失効する
- 大規模案件に係るファイナンスの特性を踏まえた例外的措置として、運転開始に向けた準備が十分に進捗し、確実に事業実施に至るものとして、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された一定規模以上の案件については、運開期限に、猶予期間として、調達期間に当たる年数を加えることとし、失効リスクを取り除く
また、運転開始期限が設定されていない太陽光発電の2016年度認定案件についても、運転期限を設定する。2021年3月までに系統連系工事の着工申し込みが受領されている案件は、従来の調達価格を維持しつつ、2022年3月31日を運転開始期限とする。一方、受領が間に合わなかった案件は、受領時点の2年前の調達価格を適用し、そこから1年後を運転開始期限とする。
なお、太陽光発電以外の電源についても、認定失効制度を適用する。その条件については「2012年度から2017年度までの認定案件に対して、事業者の予見可能性を確保する観点も考慮し、今回の措置が決定した日を起算点として、運開期限を一律に設定することを検討する」とした。
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