「非FIT型の再エネ調達に選択肢を」、日本企業約180社が政府に要望:自然エネルギー
約180社が加盟する企業団体の日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が、固定価格買取制度(FIT)などを用いない、需要家が主体的に参画できる新たな再エネ調達の選択肢を求める意見書を公表。経済産業省をはじめとする関係省庁に提出した。
約180社が加盟する企業団体の日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は2021年5月13日、固定価格買取制度(FIT)などを用いない再エネ調達の選択肢を求める意見書を公表。経済産業省をはじめとする関係省庁に提出した。
昨今、事業用電力を100%再生可能エネルギー由来とすることをめざす国際イニシアチブ「RE100」に加盟する日本企業が増えるなど、企業の再エネ調達ニーズが増加している。また、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」および「2030年温室効果ガス排出削減目標2013年度比46%削減」という目標の達成に向けて、こうした需要家企業が主体的に再エネを調達する流れは加速すると見られる。
意見書では、こうした流を再エネ拡大につなげるには、需要家が主体的に参画できる再エネ調達の選択肢を増やす仕組みが重要であると主張。その一方で再エネ拡大に向けてFIT・FIPに伴う国民負担とのバランスを取る必要性があり、FIT・FIPを用いない再エネ調達の新たな選択肢があれば民間投資がさらに喚起されるとしている。
JCLPではこうした非FIT・FIP型の再エネ調達の手法として、バーチャルPPA(V-PPA)実現策の早期導入などを求めている。V-PPAとは需要家が直接発電事業者と中長期契約を結び、実際の電力売買とは切り離された形で再エネ属性を直接移転する仕組みのこと。米国では2019年に締結されたPPA契約の約80%をV-PPAが占めるなど、欧米では主流の手法となっている。
現状日本の制度では、V-PPAのように需要家と発電事業者が直接的に環境価値をやりとりすることができない。JCLPではこうした状況に対し、現在行われているエネルギー基本計画の見直しなどに伴い、さまざまなエネルギー政策の方向性が示される今夏のタイミングを逃さず、状況の打開に向けたさらなる施策を早急に検討する必要があると主張。具体的には以下の3点についての対応を求めている。
- 非FIT(再エネ指定)証書等の再エネ属性を需要家企業が発電事業者から直接購入可能にする
- 非化石証書等再エネ属性の無効化制度および税の取り扱いを明確化する
- 非FIT再エネの経済性を高めるためのインセンティブを導入する
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