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大林組が「地熱発電×水素製造」を実証、水素はトヨタなどに供給へ:自然エネルギー
大林組が大分県玖珠郡九重町で開発を勧めていた地熱発電およびその発電電力を利用した水素製造システムの実証プラントが完成。製造した水素はトヨタ自動車などに供給する。
大林組は2021年7月18日、大分県玖珠郡九重町で開発を勧めていた地熱発電およびその発電電力を利用した水素製造システムの実証プラントが完成し、水素の出荷を開始したと発表した。地熱発電電力を活用したグリーン水素を、複数の需要先へ供給するまでの一連のプロセスを実証する日本初の試みになるという。
実証プラントは、出力125kW(キロワット)のバイナリー式地熱発電システムと、10Nm3の製造能力を持つグリーン水素製造システムを組み合わせた。発電能力のうち、50〜60KW程度を水素製造に利用する。地熱発電の発電状況によっては、系統から電力を購入して補完する仕組みだ。
システム全体は、大林組が独自開発した大林組が開発したエネルギーマネジメントシステムで制御。このEMSは「年間水素製造量が最も多くなる運転モード」「水素製造単価が最も安くなる運転モード」「水素製造のための電力のうち地熱発電電力の割合が高くなる運転モード」など、複数の制御を実現できるという。
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