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単年の許可数は過去最高に、農水省の最新統計で見る「ソーラーシェアリング」導入状況ソーラーシェアリング入門(50)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)について解説する本連載。今回は農林水産省が発表した、ソーラーシェアリングに関する最新の統計情報の内容を解説します。

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 長らく更新が待たれていた、農林水産省による営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の最新の統計情報が公開されました。今回は令和元年度末(2020年3月末)時点の統計データになります。1年ほど古いデータになってしまうのは相変わらず残念なところではありますが、農林水産省公式の最新データとしてその内容を見ていきましょう。

単年度の事業許可数は過去最高、県別では静岡県が急進


表1 都道府県別の一時転用許可実績(農林水産省農村振興局資料より)

 まず、営農型太陽光発電の一時転用許可の許可件数は累計で2653件となり、単年度の許可件数661件は過去最高です。同様に、単年度の一時転用許可を受けた設備の下部農地面積181.6haも過去最高となりました。累計の一時転用許可面積から推定すると、700〜800MW程度が営農型太陽光発電の国内導入量となります。累計の導入件数はおおよそ私が各所でお話ししてきた数字感の通りで、次の1年(2021年3月末時点)で3000件を超えて、3500件に到達しているかどうかという状況だと予想しています。

 都道府県別の導入傾向(表1)を見ていくと、累計許可件数では全国トップの座を千葉県が維持してはいるものの、静岡県の猛追が凄まじく、令和元年度の許可件数は静岡県がトップです。単年度ベースで見ていくと東北では宮城県の導入が著しく伸びている(累計85件のうち令和元年度が56件)ほか、関東では山梨県がやはり大きく導入を伸ばしています。一方で北陸三県や近畿、九州は相変わらず低調で、富山県は未だに0件を維持しています。全体的に西日本は導入が低調で、東日本の特に関東地方を中心に導入が増加傾向にあることが伺えます。

第2種・第3種農地の転用事例も

 一時転用許可によってあらゆる農地に導入可能であることが営農型太陽光発電の大きな特徴ですが、農地区分による傾向も明確になってきています(図1)。許可件数全体の75%を農用地区域内農地の事例が占めるようになり、一方で一時転用許可期間を10年以内とする制度改正の影響か、第2種農地や第3種農地の事例もわずかながら増えています。第2種農地や第3種農地は転用によって野立ての太陽光発電用地とすることも可能ですが、あえて営農を継続することに対し、10年以内の一時転用許可を認めるというメリットを持たせる仕掛けになっています。


図1 営農型太陽光発電設備に係る農地区分(農林水産省農村振興局資料より)

 また、荒廃農地の再生も同様に一時転用許可上の優遇を受けられ、10年以内の一時転用許可を得ることが出来ますが、農用地区域内農地や第1種農地の一時転用許可事例でそれぞれ11%程度を占め、割合だけで言えば第2種農地や第3種農地はそれ以上です。合計で305件の荒廃農地活用による一時転用許可が行われており、資料にも記載のある通り営農型太陽光発電が荒廃農地の再生利用に一定程度寄与していることがうかがえます。

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