再エネの環境価値を「移転」可能に、TISがブロックチェーンを活用した管理システムを開発:太陽光
TISインテックグループのTISは、一般家庭で発電した再生可能エネルギー由来の電気をEVに充電し、走る蓄電池として活用し蓄えた電気を別の建物に放電することにより、電気と共に環境価値を他者に移転するシステムを構築したと発表した。
TISインテックグループのTISは2021年10月7日、ブロックチェーンを活用し、再生可能エネルギーの環境価値を他者に移転するシステムを構築したと発表した。このシステムを、太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)終了に伴う太陽光発電(PV)の余剰電力およびその環境価値の新しい取引形態の創出を目的とした実証実験に提供する。
TISは、2021年度から取り組む中期経営計画「Be a Digital Mover 2023」において、解決すべき社会課題の1つに「脱炭素化」を掲げており、同社およびユーザーの「脱炭素化」に向けた取り組みを加速させている。
今回、TISが提供した環境価値の移転管理システムが、関西電力が参画する「再エネ由来電気をV2Xで環境価値と共に移管するしくみ」の検討を目的とした実証実験で使用された。TISは関西電力より支援依頼を受け、実験の核となるブロックチェーン技術を活用した環境価値移転管理システムの開発および提供を行った。
開発したシステムでは、発電した再生可能エネルギーの環境価値をトラッキングすることで、発電した場所と異なる地点でその電力が利用された場合に、環境価値がどこでどのように生かされたかを確認できる。
実証では、PV設備を持つ一般家庭からの余剰電力をEVに充電したのち、イオンモール堺鉄砲町に設置されたV2H対応の充放電器に放電を行い、電気と共に環境価値を移転する「環境価値取引」を実現する。その中でTISは、IoT機器で計測されたPV発電量とEV充放電量をブロックチェーンに記録する環境価値移転管理システムと、サービス利用者がPV由来の充電量や環境価値移転量などを閲覧することができるWebアプリケーションの試作・提供を行う役割を担った。さらに本実験へ参加した一般家庭消費者に、移転した環境価値に応じたポイントなどを還元することを検討している。
TISでは、脱炭素社会の実現に向け、今回の取り組みをはじめとして一般消費者や企業が、環境に配慮した行動を選択できるように促し習慣づけていける施策を支援・推進していくという。
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