太陽光の「第三者所有モデル」は2500億円規模に、一方で国内パネル市場は4割縮小か:太陽光
調査会社の富士経済は2021年12月、太陽光発電システムの市場予測結果を公表。国内で太陽光発電の導入手法として広がっている「第三者所有モデル」の市場規模は、2035年度までに2020年度比で15.9倍の2553億円にまで拡大すると予測している。
調査会社の富士経済は2021年12月、太陽光発電システムの市場予測結果を公表。国内で太陽光発電の導入手法として広がっている「第三者所有モデル」の市場規模は、2035年度までに2020年度比で15.9倍の2553億円にまで拡大すると予測している。
今回の調査における第三者所有モデルは、サービス事業者が顧客の所有する建物の屋根などに太陽光発電システムを設置し、電力購入契約を結ぶ顧客へ電力を供給するPPAモデルと、定額でシステムを貸与するリースを対象としている。2021年度の市場規模は277億円の見込みで、これは2020年度比で172.0%と高い成長率を見せている。
調査ではこの成長要因として、第三者所有モデルが再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)による投資型から、自家消費型への過渡期における効果的な導入手法として注目されているためと分析。今後も住宅向け、非住宅向けともに市場拡大が続くし、2035年度の市場規模は2553億円と予測している。
国内の太陽電池市場は、4割程度の縮小か
調査では国内の太陽電池市場も予測した。2021年度の市場規模は、2020年度比で107.9%の2819億円の見込み。2020年度は、上半期に新型コロナウイルス感染症の影響で大きく減少し、下半期には住宅向けが回復に向かった。しかし材料価格高騰による非住宅向けでの導入先延ばしなどがみられ、市場が縮小した。2021年度は材料価格高騰に伴う値上げにより、金額ベースでは2020年度より市場規模が広がったかたちだ。出力ベースでみた2021年度の市場規模は6570MWで、2020年度比で96.4%と縮小している。
2022年度以降は、非住宅用のFIT案件の受注残と新規需要獲得の減少により、縮小が続くと予測。2035年度の市場規模は2020年度比で57.7%となる1509億円にまで縮小すると見通している。しかし、中長期的には世界的な生産拡大に伴う低価格化に加え、電力料金の上昇とカーボンニュートラル対応ニーズの高まりを背景として、2030年度頃に縮小は下げ止まり、市場は拡大に向かうとしている。
なお、色素増感、有機薄膜、ペロブスカイト、GaAsといった次世代太陽電池の市場については、現状の実績値は小さいものの、2035年度までに86億円に拡大し、太陽電池市場全体の5.7%を占めると予測している。
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